北海道の森林と林業
北海道の森林
- 植生
- 北海道|森林の植生
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北海道には、ロシア等に分布するエゾマツ、トドマツ等の北方系の針葉樹と、ミズナラやカバノキ類、カエデ類など本州と共通する温帯性の広葉樹が広く混生する「汎針広混交林帯」という本州とは異なる森林帯が広がっています。
現在、土地面積の69%、全国の森林面積の22%を占める554万haの森林を有しており、このうち約7割が天然林、約3割が人工林です。
- 歴史
- 北海道|森林の歴史
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開拓期、戦時中と天然林の伐採が進み、さらに戦後の復興と経済成長期には木材需要の高まりと共に伐採は山奥にも及びました。太く良質な広葉樹は海外にも輸出されて激減、代わりに針葉樹が植林されました。
炭鉱の坑木用として本州から移植されたカラマツ、北海道の固有樹種であるトドマツ、アカエゾマツ、そして北海道南部で植林されたスギなどの人工林が急速に増加。現在、カラマツ・トドマツが成熟期を迎え、北海道の主要な人工林資源となっています。
- 特色
- 北海道|森林の特色
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他の地域にない多種多様な広葉樹は、かつては広く地域を覆い、アイヌの人々の衣服や住居、祭礼道具や狩猟道具として使われ、開拓時代は炭生産が入植した人々の生活を支えました。戦後、大径で通直な銘木がヨーロッパなど海外へ輸出され、伐採が進みました。
現在は質量ともに減少し、カラマツ・トドマツが木材の主体となっていますが、質の高い広葉樹を使った家具産業がブランド化したり、荒れ地にも育ち50年程で成長して天然更新可能なシラカバを内装材に使用するなど、森林育成を視野に広葉樹の活用が進められています。
文化的価値と個性を持つ北海道広葉樹は、一味違う木材として大きな魅力があります。
北海道の林業
- 資源の現状
- 北海道|資源の現状
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森林総蓄積は約8.8億㎥と全国の15.8%を占めており、天然林が5.8億㎥(広葉樹約68%)、人工林が3億㎥(針葉樹93%)となっています。森林総蓄積のうちの人工林の蓄積量は34%を占めているため、全国と比較して天然林が豊富であることがわかります(全国平均は64%)。
人工林の齢級構成は、41年以上(9齢級以上)が約7割を占めており、昔から森林の計画的な伐採が進んでいることがわかります。針葉樹人工林では、戦後造成され利用期を迎えた齢級のトドマツ・カラマツが75%を占めています。
- 素材生産
- 北海道|素材生産
- 素材生産量は、都道府県別では全国1位、地域別でも全国1位で、全国の約14%を占めています。樹種別では、カラマツが6割以上、トドマツのほぼ全量、広葉樹の約3割を全国に供給しています。
- 木材流通
- 北海道|木材流通
- 一部付加価値の高い原木以外に市場売りはなく、市場を通さず直接原木を工場に運ぶ流通形態です。山土場から工場へ直送されており、価格も需要者と供給者の相対で決められています。こうした形態により流通コストの削減を図っているほか、多種多様なサイズを樹種別に注文に合わせて供給することで需要者側の要求に応えています。
- 木材の利用促進
- 北海道|木材の利用促進
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主要樹種であるトドマツ、カラマツ等の欠点を克服し付加価値を高める技術開発が進んでいます。
・乾燥技術コアドライ:
内部まで十分乾燥してカラマツの弱点である乾燥による割れやねじれを克服。高品質な建築用材として利用することが可能になりました。カラマツ本来の強度を活かした大規模建築への利用が拡大しています。
・CLT(直交集成板):
CLT(Cross Laminated Timber)はひき板を繊維方向が直交するように重ねて接着した大判のパネル。軽量で強度やデザイン性に優れ中高層の木造建築も可能です。道内企業で道産CLTの生産が始まり、建築物等での利用が拡大しています。
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