業界レポート

記事公開:2023.3.27

動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語る

藤原敬

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一般社団法人持続可能な森林フォーラム 代表 藤原敬

持続可能な森林フォーラムが運営している「持続可能な森林経営のための勉強部屋」とうサイトで、森未来さんと連携して連続セミナーを開催していますが、今年度第5回を2月25日開催しました。

梶谷辰哉さん(SGEC/PEFCジャパン事務局長)をむかえ、「動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語る」というタイトルで、前回に引き続き、森林認証制度の現局面と展望について議論をしました。

梶谷様の発表スライドより

森林認証SGEC/PEFC

ご案内のように森林認証は、FM森林管理認証とCOC木材事業者の認定の二つの仕組みで、森と消費者をつなぐプロセスです。

国際的には、図のように環境団体が設立を主導したFSCと 、政府の枠組みが主導したPEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification、いろいろな(各国の)森林認証を承認するプログラム)の二つの流れがあります。

梶谷様の発表スライドより

アルファベットの言葉が多いですね。

SGECとは、「日本で生まれた森林認証制度」緑の循環認証会議(Sustainable Green Ecosystem Council)です。2003年に生まれて、2016年にPEFCと相互承認しました。

梶谷様の発表スライドより

PEFC相互認証とは?

さて、いったい、相互承認て何?
下がその説明の重要な図です。

梶谷様の発表スライドより


「各国の認証制度の主権を尊重しつつ世界共通のPEFC持続可能性基準をベースにして、統合性を確保する 」のだそうです。

  • 各国認証制度の規格が満たすべき共通要求事項や水準との適合性を審査
  • 評価公開入札による専門コンサルタントによる査定・評価
  • 300項目以上のチェックリスト

図でいうと、赤の線が共通要求事項、左の棒グラフが各国の基準サンプルです。

梶谷様の発表スライドより

各国の基準をチェックすると、共通要求事項より高い基準もある場合は、認証となる。基準を下げてほしいとは言わない。共通要求事項より低い基準の場合は、不認証となる。高いところは参考にして共通要求事項をだんだんレベルアップするのだそうです(この辺の柔軟性がFSCとの違いと言われていました)。

相互認証のメリットは

一番わかりやすいのは、SGEC森林認証をうけた森林から伐採された木材が、海外に輸出される場合ですね。
SGECで認証された森林は自動的にPEFCで認証された森林になるので、そこで生産された木材は(REFCのCOCを取得した各国の事業者がつながれば)海外のユーザーに、これはあのPEFC認証材だと主張することができます。

梶谷様の発表スライドより

また、SGECのCOC認証を受けた人は、PEFCのCOC認証を受けたことになるので、輸入されたPEFC材の国内流通過程を担うことができます。

梶谷様の発表スライドより

木材市場がグローバル化してくるので、大切な変化ですね。

森林認証のメリットは

下の図が、メリットの総括表です。
四つに分けて掲載しています・・・

梶谷様の発表スライドより

〇SDGs達成への貢献
「認証材」であることの差別化➡市場の優位性 –ビジネスチャンス確保
自社製品の市場へのアクセスを向上

〇リスク管理、安全な調達源、透明性
違法伐採材が自らの製品やビジネスに入り込むことを回避、政府推奨のグリーン購入にも合致

〇顧客・消費者へのコミットメント
自社のCSR、CSV方針を示すことができ, イメージの向上・改善に役立つ

〇地産材が国際的にも通用する認証材に→輸出も視野に
地域での関係者の連携強化、第三者の審査を受けることで、マネジメントシステムの構築、
労働安全管理の改善、職員の意識改革等

それで、具体例として、大手の住宅メーカーがCOCを取得したら・・・

「環境分野で世界的に権威のある国際環境利団体CDP」

この団体によるこの会社の評価が、気候変動対策及びフォレスト(森林減少対策)において、最高評価の「Aリスト」に選定されるダブル「A」を達成したんだそうです。

COCだけではないでしょうけどね。おめでとうございました。

梶谷様の発表スライドより

森林認証の広がりに向けて

いよいよ、まとめ、森林認証の広がりにむけて、みなさんで、考えてみましょう。

下の図のように、東京五輪はインパクトがありました。

梶谷様の発表スライドより

需要に応じて、森林面積が伸びた背景にあるのが、下の図のように地域の自治体と、国と、山林所有者と木材事業者がいったいとなってグループで認証をうける、グループ認証のシステムです。

梶谷様の発表スライドより


北海道るもい地区の森林の85パーセントが森林認証を取得、地元の素材生産、木材加工事業者、建設業者など49社が認証を受けました。
るもい森林認証協議会というところが、一括して認証手続きをすると、手続きが簡単になり、少し安価に認証が進むんだそうです。
これが、川上の認証システム普及の仕組みですが・・・

川下の建築物が認証材でできていて、環境に貢献する素晴らしいビルですと主張する時のやり方が、プロジェクト認証。
「建物や船などの建築において複数の業者が関わる場合に、この建築をプロジェクトとして定義し、認証を受ける仕組み」です。
プロジェクトマネージャーが事業を統括。
建築物全体を審査、認証する全体認証と、だけでなく、例えば家の柱、建物の床部分など、一部のみを認証する部分認証がある」んのだそうです
色々使えそうですね。

下の図が、最近の事例です。
森林認証材の使用に対して、自治体が助成をする制度の紹介もありました

梶谷様の発表スライドより

今後のとりくみ

梶谷さんが最後に示したスライドが、下の図です

梶谷様の発表スライドより


今後の取組ですが、色々あると思います。自治体等との連携が大切ですね。
認証された森林の都道府県分布は北海道が9割です。
これは、おかしいですが、北海道の道有林、や国有林が地域の森林と一緒になって、頑張った紋別の例は素晴らしいですね。
川下の方は木造都市だとかいって、大手のゼネコンだとか、丸の内の保険会社の本社ビルだとか、ESG投資など環境指向のながれで、木材の利用が進むことは間違えありません。
そこで、「環境志向の木材」ならば、森林認証材で行こうとなるのは、間違えないでしょう。
転換点を前にして、頑張りましょう。

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