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2024.3.6
木目の種類の呼び方である柾目(まさめ)と板目(いため)の知識は、木材を扱う上で外せないポイントです。
これまでも、家の内装・外装や家具、生活の道具に至るまで、人々は柾目と板目の見た目や性質を鑑みて使い分けてきました。
この記事では、柾目と板目の生じる理由や、それぞれの性質、用途ごとの向き不向きなどを解説します。木材に関する知識を深めたい人、木を適切に選んだり扱ったりしたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
木を切ると表面に表れる模様を、木目といいます。
木目にはさまざまな種類がありますが、大別すると柾目(まさめ)と板目(いため)に分けられます。
両者を見分けるポイントは、下記のような木目の模様の違いです。
柾目:直線が平行に並ぶ模様
板目:山型や等高線型、タケノコ型といわれる曲線の模様
両者の木目の模様が異なる秘密は、木の切り方にあります。
柾目と板目の木目の違いは、丸太を板状にする際の挽き方によって生まれます。
どの方向に刃を入れていくかが木目の見え方を決めるのです。
柾目の特徴である平行線の模様は、丸太を中心から外側に向かって放射状に切り分けると見られます。バームクーヘンを切り分けていくイメージです。
切った断面は、木目の線が縦に整然と並びます。
一方、板目の山型の模様は、丸太を上から見て端から平行に切り出した場合に表れます。
年輪に接する方向に切り出すという表現もされます。
柾目と違い、同じ丸太から切り出された板同士でも、それぞれの表情の違いが大きい点も特徴です。
柾目と板目は、見た目に加えて、木材としての性質やコスト面でも異なる特徴をもちます。
それぞれの特徴を、以下の5つの項目ごとに解説します。
柾目と板目の違いとして一番わかりやすいのは、見た目の違いでしょう。それぞれがもつ雰囲気には、一定の傾向があります。
柾目は、直線状に流れる木目がすっきりとした印象を与えます。モダン・スタイリッシュ・都会的といった言葉がぴったりです。
複数枚の板を並べても、木目を統一できることも特徴です。
整然とした美しさは、日本家屋の障子や建具に多く採用されてきました。デザイン性を重視した家具やドアに使われることもあります。
一方、板目のランダムな曲線状の木目は、柾目に比べて表情が豊かです。
木材ならではの不揃いな模様を楽しむことができ、ナチュラルであたたかみのある雰囲気を作り出します。
一つとして同じ模様がないため、板目板を複数並べると、その特徴はさらに強調されるでしょう。
値段の面では、柾目より板目の方が安い傾向があります。板目は、一本の丸太から切り出せる量が、柾目よりも多いからです。
板目は、丸太の端から端まで全て製材できますし、丸太の直径に近い幅を切り出せます。
一方、柾目は、丸太の芯を中心に切り出すため、板にできない端材が多く出てしまいます。また、取れる板の最大幅も、丸太の半径程度です。
製材の歩留まりが悪く広い幅も確保しにくい柾目は、板目に比べて割高です。
そのため、板目よりも柾目の方が希少であるとし、高く評価する場合もあります。
ただ、一概に柾目の方が優れているわけではなく、両者ともメリット・デメリットがあることを念頭に、適切に使うことが求められます。
強度に関しては、板目の方が柾目よりも優れており、曲げる力にも多少は耐えられるといわれています。
ただし、住宅に使われるフローリングなどの用途であれば、板目と柾目どちらも強度に問題はないので、神経質になる必要はありません。
木は、湿度が高いと湿気を吸って膨張し、湿度が低いと湿気を放出して縮む特性があるため、使用に伴う反りや変形は避けられません。この性質は、木材の扱いにくさの原因の一つです。
柾目板は、板目板と比べて反りが生じにくく、変形リスクが少なくなっています。
両者の反りやすさが違うのは、板の年輪や繊維に対する方向によって、収縮・膨張の程度が異なるからです。
膨張・収縮率を大きい順に並べると、以下のようになります。
板目板は、樹皮に近い接線方向と芯に近い放射方向の面が表裏で向かい合います。接線方向は、放射方向の約2倍収縮します。この収縮率の違いが、板目が反りやすい原因です。
柾目板は、表裏で向かい合う面はどちらも放射方向で、芯からの距離も同じです。両面で収縮率が等しいため、板目に比べて反りにくくなっています。
板目は、柾目よりも水分を通しにくい特徴があります。
年輪は、春から夏の成長が旺盛な時期に形成される「夏目」と晩夏から冬の成長が遅い時期に形成される「冬目」が交互に並んでいます。
年輪の色が薄い部分が夏目、濃い部分が冬目です。
柔らかい夏目は水を通しやすく、固く緻密な冬目は水を通しにくい性質があります。
板目板は、冬目が厚みの中に面状に存在するため、水を通しにくくなります。そのため、酒樽や水桶などの長期間水分を保存する容器に使われてきました。
一方柾目板は、夏目が冬目に遮られることなく、表裏を繋いでいます。
夏目を通して水分が通りやすいので、調湿性能が高くなります。寿司桶・風呂桶・化粧箱などに利用されてきました。
適材適所で木材を使うには、柾目と板目の性質を考慮して、使い分ける必要があります。
ここでは、用途ごとの選び方を紹介します。
フローリングや壁材などの内装材は、好みや予算、扱いやすさで板目と柾目どちらを選ぶか変わってきます。
見た目に関してはすっきりとモダンな雰囲気が好みなら、直線的な木目の柾目を、ナチュラルであたたかみのある雰囲気を希望するなら板目を選ぶといいでしょう。
使用に伴う反りや変形は柾目の方が少ないですが、板目は傷が目立ちにくいというメリットがあります。
そのほかに、手に触れることが多い壁材は「ささくれ」のできにくい柾目が向いています。
コスト面では、柾目を多様すると価格が高くなりがちです。限られた予算で柾目を使用したい場合は、リビングや客間など目につきやすい場所にとどめるなどの工夫も必要です。
家具も、板目と柾目どちらを使用するかで、雰囲気が大きく変わってきます。
ゆるやかな曲線で構成される板目は、ダイニングテーブルなど広い面積で使用すると、雄大で個性的な表情を楽しめるでしょう。
落ち着いた印象の柾目は、モダンでスタイリッシュな現代的な家具にピッタリです。
一方で、柾目にしか表れないナラ材の杢目「虎斑(とらふ)」や、タモ材の非常に細かい柾目である「糸柾(いとまさ)」などは、板目に劣らず個性的です。その美しさや希少性を好む人も多く、家具材として珍重されます。
雨の侵入を防ぐ必要がある外壁や、耐水性・耐久性が要求されるアウトドアデッキなどには、水に強く強度も高い板目が向いています。
船舶用のデッキ材として板目が選ばれていた歴史からも、適性が伺えます。
風雨にさらされる過酷な環境でも、美しさが長持ちするでしょう。
製材の仕方で生じる表面の木目模様の種類の代表が、柾目と板目です。
直線的な模様の柾目と曲線的な模様の板目は見た目の違いが大きく、同じ樹種であっても、醸し出す雰囲気が異なります。
ただし、見た目以外に、コストや強度、水の通しやすさなど、両者ともメリット・デメリットを併せ持ちます。
どちらの性質もよく理解した上で総合的に判断、適切に使い分け、木材の魅力をより引き出せるようにしましょう。
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