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2024.3.7
インテリアやエクステリアの一部として、ウイスキーの樽が再利用されているのを見たことがある方も多いでしょう。
しかし、もともとウイスキーの樽がどのような木材で作られているのかはあまり知られていないかもしれません。
そこで今回は、ウイスキーの樽に使われる木材について解説します。
木材の種類や特徴を解説すると共に、樽の寿命や寿命後の再利用方法についても触れていきます。
目次
ウイスキーの樽に木材が使われる理由は大きく分けて下記2つです。
ウイスキーの原酒は無色透明で非常にアルコールが強い液体です。
木材の樽に入れて熟成する工程を経て、販売されている状態まで味と香りが作られます。
そのため、ウイスキーの樽に使われる木材には、長い熟成期間に耐える特徴が必要です。
また、独特の味と香りをつけるために必要な成分を含む木材が用いられます。
ウイスキーの樽には、さまざまな種類のオーク材が使われます。
オーク材に共通する、主な特徴は次の通りです。
ウイスキー樽に使われるオーク材には、タンニンやポリフェノールが多く含まれています。
これらの成分に水分を弾く成分が含まれているため、耐水性が高いのが特徴です。
オーク材は耐水性が高いため、飲み物や水をこぼしてもしみになりにくいというメリットがあります。
そのため、フローリング材や家具用の木材としてもよく用いられます。
ウイスキーの独特な味わいを決める重要な役割として、木材が使われています。
樽に使われる木材には大きく分けて「樽からそのまま溶け出す成分」と「時間の経過で分解されて溶け出す成分」が含まれています。
それぞれ下記2つのような成分です。
ウイスキーは長期間にわたり熟成を行うため、経年変化に耐えられる強い素材を使う必要があります。
樽に使われる木材は、主にオークの「柾目材」です。
柾目材は、丸太の中心から放射線状に切り出したもので、次のような特徴があります。
膨潤とは、水分を吸収して体積が増加することです。
木材は膨潤することによって強度は著しく低下します。
その点、オークの柾目材は水分が漏れにくく、長期の熟成に耐える強度を得られるため、ウイスキーの樽として適した木材と言えます。
ウイスキーは樽の中で長期熟成する途中で、適度に空気と接触することで、香りと色が変化すると言われています。
樽材に浸透したアルコールを分析したデータからは、樽材に染みこんだアルコール濃度は外側に向かってだんだんと低くなっていることが判明しています。
つまり、樽材の外側にいくにつれて、空気と接触して揮発していると考えられるのです。
これは、オーク材に適度の浸透性があることを意味します。
ウイスキーは樽内の広い面積で空気と接触する結果、独特な味と香りが決まっていくと考えられます。
オークは比較的手にいれやすい木材です。
その理由は、オーク材は北半球に多く自生しているため、生産量が多いことがあげられます。
また、生産量が多いことから、価格的にも手に入れやすい傾向があります。
広葉樹は、一般的に価格が高い傾向にありますが、同じ広葉樹でもオーク材であれば、比較的価格を安く抑えることが可能です。
ここからはウイスキー樽に使われることが多いオーク材についてご紹介します。
ウイスキー樽には、主に次の4種のオークが使われます。
ホワイトオークは、北アメリカ原産で、アメリカンオークとも呼ばれます。
木の中には、水分や養分を伝導するための「チロース」と呼ばれる管があります。
ホワイトオークは、このチロースの密度が高いため、他の種類よりも水分を通しにくく、耐水性が高いのが特徴です。
ホワイトオークに含まれるタンニン量は少ないため、ウイスキー樽にすると、ウイスキーにバニラやココナッツのような甘い香りが加わります。
コモンオークはヨーロッパに自生する種類で、スパニッシュオークやヨーロピアンオークとも呼ばれます。
オークの中でもタンニンの量が多く、コモンオークの樽だけで使うと刺激が強いウイスキーになるのが特徴です。
そのため、他の種類の樽で熟成した後のウイスキーをコモンオークの樽に移し替えて、短期間で風味付けをする「シェリーカスクフィニッシュ」という方法の時に使用されます。
コモンオークの樽で作られたウイスキーは、木の樹脂やドライフルーツ、甘くコクのある蜂蜜を思わせる芳醇な香りが特徴の味わいになります。
フランスを中心に生産される種類のオークで、フレンチオークとも呼ばれます。
ヨーロッパオークの一種でもあり、タンニン量が多い種類に分類されます。
もともとは、ワインやコニャックの樽として利用されてきましたが、近年、スコッチウイスキーの樽としても使われています。
セシルオークの樽で熟成したウイスキーは、スパイシーで草花を感じさせる香りが特徴です。
ミズナラは北海道が主な生産地で、ジャパニーズオークとも呼ばれる種類です。
樽材のタンニン成分が溶け出すのに時間がかかるのが特徴です。
そのため、ウイスキーの樽としては、12年〜50年ほどの長期熟成に使われます。
また、水分の浸透性が高く加工が難しいことも、ミズナラの特徴です。
そのため、ミズナラで作る樽は、樽自体の価格も高くなり、必然的にウイスキーの価格も高くなる傾向があります。
ミズナラの樽で作ったウイスキーは、白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)のようなお線香を感じさせる独特の香りを持ちます。
ウイスキー樽の寿命ウイスキー樽は、一度だけでなく、何度も熟成に使用するのが一般的です。
樽の使用回数によって、出来上がるウイスキーの香りが大きく変わるため、蒸留所では樽を繰り返し使って、さまざまな味わいを表現しています。
寿命は使い方や貯蔵場所によって異なり、短いもので20年、長いものでは80年使い続ける醸造所もあります。
また、貯蔵庫の温度によって樽の寿命も変わるとも言われています。
貯蔵庫の気温が高いほど、オークの風味を強くウイスキーに加えることが可能です。
一方で、樽には負荷がかかるため、寿命が短くなる傾向があります。
ウイスキー樽に天板をつけて、テーブルとして使用している事例や、半分に割ってプランター代わりに使用している事例を見たことがある方も多いでしょう。
ここでは、ウイスキー樽を廃材にしないために、各社が行っている取組みについて、解説します。
ウイスキー樽に天板をつけて、テーブルとして使用している事例や、半分に割ってプランター代わりに使用している事例を見たことがある方も多いでしょう。
ここでは、ウイスキー樽を廃材にしないために、各社が行っている取組みについて、解説します。
樽材の再利用|サントリーサントリー株式会社
サントリーでは、自社のウイスキーの熟成に使った樽を再生し「樽ものがたり」というシリーズ名で商品化、販売しています。
使用している樽材は、樹齢100年、ウイスキーの熟成に50〜70年利用した木材です。
高級家具やインテリアに加工するだけでなく、文具、音響機器の木枠、プランター、楽器など、さまざまな用途で再利用しています。
樽材の再加工に当たっては、湾曲した木材を曲げ伸ばすための技術が必要です。
サントリーでは1970年代から、曲げ伸ばし技術の研究を重ねています。
現在、その技術で特許も取得し、寿命を迎えた樽材を無駄にしない取り組みを続けています。
参考:サントリー樽ものがたり|サントリー
参考:ウイスキー樽材の再利用を進める|全国森林組合連合会
株式会社DINOS CORPORATIONでは、寿命を迎えたウイスキー樽を再生し、インテリアに馴染むこたつとして販売しています。
使う樽材は樹齢100年以上、数十年の熟成に使われたオーク材です。
曲げ伸ばし加工と丁寧な手作業のオイル仕上げを経て、再生しました。
木目や色の濃淡が美しく、かすかなウイスキーの香りが特徴です。
季節を問わずに使えるデザインで、使うほどにインテリアに馴染む家具となるでしょう。
参考:ディノスから、樹齢100年以上のオークのウイスキー樽を再利用した、サステナブルなこたつを新発売|株式会社DINOS CORPORATION
群馬県高崎市のプロ専用レコーディングスタジオ「TAGO STUDIO TAKASAKI」が販売するのは、ウイスキー樽を再生したヘッドホンです。
利用するのは、人気の蒸溜所「ベンチャーウイスキー」で熟成に20年程度使われてきたホワイトオークの樽材です。
ベンチャーウイスキーは「イチローズモルト」のブランドを持ち、イギリスのウイスキー専門誌が主催するアワードで5年連続世界最高賞に輝いたことでも知られた蒸溜所。
持続可能な社会への取り組みとして、TAGO STUDIO TAKASAKIが立ち上げた「HISTORIC PHONE」シリーズの第一弾です。
ウイスキー樽に木材が使用されるのは、熟成の過程で木材から溶け出す成分によって、香りと味を付けるためです。長い熟成期間を必要とするウイスキーの樽に使われる木材には、オークが使われます。
オークは高い耐水性と耐久性がある上に、多くの香味成分が含まれているため、ウイスキーの樽として最適な木材です。
ウイスキー樽に使われるオーク材は、樹齢100年以上の木材が使われることも一般的です。
長時間の熟成、繰り返しの利用で樽の寿命は50年とも80年とも言われています。
長い時間をかけてウイスキーと共に熟成した樽の木材を、寿命後に再利用する取り組みが今、各社で行われています。家具や楽器、建材に至るまで、新たな命を吹き込む取り組みに期待が寄せられています。
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