屋外空間を彩る!ウリン材について解説

eTREE編集室

ウッドデッキやウッドフェンスなど外観を演出する「エクステリア」に木材を使用する場合、雨や天気、虫などによる影響を受けにくいものを選ぶことが大切です。そんな中近年、エクステリアとして「ウリン」が注目されています。

本記事では、ウリン材の特徴や木材として使用する場合のメリット・デメリットなどを解説します。

ウリンとは「屋外使用に適した強い木」

ウリンはインドネシアやマレーシアなど、ボルネオ島周辺を原産地とするクスノキ科の広葉樹です。樹木としては中型の木で、樹高はおよそ30m、樹周は1.8m程度に成長します。非常に硬い木であることから「鉄のように強い木」として「アイアンウッド」と呼ばれることもあります。

木材としては優れた耐水性、耐腐朽性を持ち、原産地であるインドネシアでは、波止場や桟橋、家の屋根など、海水や雨の影響を大きく受けるような屋外で広く使われています。

【補足①】ウリンを特徴づけるポリフェノール

ウリンは強い抗酸化作用のある「ポリフェノール」が豊富に含まれているため、耐腐朽性に優れた樹種です。特に心材には多く含まれており、木を腐らせる原因であるシロアリやフナクイムシなどに対して強い耐腐朽力を発揮しています。また、色もポリフェノールの影響によって製材すると赤っぽい色と特徴的です。製材後には太陽光や酸素、水の影響を受けて色の深みが増していきます。ただし、時間の経過と共にポリフェノールが流れ出すことで、色あせてグレーに近い色へと変化します。

【補足②】ウリン材は絶滅危惧種!需給をめぐる現状

ウリンはエクステリア材として人気がある一方で、供給面ではさまざまな課題を抱える木材です。理由の一つとして、生産地での盗伐や焼畑農業の影響によって森林破壊が進み、絶滅危惧種に指定されていることが挙げられます。

現在、ウリンの生産は、主に国有林を生産転換する際の伐採によってのみ行われています。そのため、資源としての持続性を担保するのは難しい状況と言えるでしょう。また、ウリンは成長が遅いため、植林や自然更新という形での積極的な生産に時間がかかることも課題の一つです。供給量を確保するため、効率的な製材方法の確立と植林による生産への試みに期待が寄せられています。

参考:インドネシア産ウリン材の伐採調達の合法性及び資源の持続性|木材工業

ウリン材のメリット

ウリンの木材としてのメリットは次のようなものがあげられます。

  • 耐久性が高い
  • 耐腐朽性が高い
  • メンテナンスしやすい

それぞれ詳しく解説します。

耐久性が高い

ウリンは非常に耐久性の高い樹種です。比重が重く緻密であるため、丈夫で強度にも優れています。耐水性の高さと強度を合わせ持ち、屋外のような雨風の影響を受けやすい環境でも優れた耐久性を発揮します。

耐腐朽性が高い

ウリン材は、含まれる「ポリフェノール」によって、木を腐らせる「腐朽菌」に対して高い耐性を発揮します。加えて、ポリフェノールには、シロアリやフナクイムシなどの虫を防ぐ効果もあります。「生涯腐らない木」とも言われ、その耐用年数は50〜100年とも言われています。

メンテナンスしやすい

ウリン材は耐久性・耐腐朽性が高い特徴から、木材とした際のメンテンナンスに手間を必要としません。基本的には、無塗装で防腐剤を使用していない状態でも長持ちします。塗装の塗り直しのような定期的なメンテナンスが必要ないため、長く使えば使うほど、トータルでのコストパフォーマンスが良い木材と言えます。

ウリン材のデメリット

ウリン材のデメリットには、次のようなものがあります。

  • アクが出やすい
  • 取り扱いが難しい
  • 価格が高くなりやすい

アクが出やすい

「アク」とは、木の色素成分のことです。雨にさらされることで溶け出し、木材の周辺に赤黒く流れ出してしまいます。赤や茶色の色素が周辺についてしまう可能性があるため、汚したくない場所での使用は避けた方が良いでしょう。ただ、ついてしまった色素の多くはブラシでこすったり塩素系の洗剤で洗ったりすることで取れるでしょう。

取り扱いが難しい

ウリンは「アイアンウッド」と呼ばれるほど、非常に緻密で硬い木です。そのため、木材として強度が確保できる反面、加工が難しい点には注意が必要です。一般的な家庭で使用されるDIY用の工具では、裁断や釘打ちなどの加工は難しいでしょう。特に、失敗した場合の細かい修正は難しくなります。DIY用として使用する場合には、あらかじめ裁断や穴開け加工がされているものの使用がおすすめです。

価格が高くなりやすい

ウリン材は絶滅危惧種に指定されており、環境保護を理由に伐採や輸出に対して制限がかけられています。そのため需要に対する供給量が少なく、他の木材と比較して高価になる傾向があります。また成長が遅く、木材となるまでに長い時間がかかることも、価格が高くなる要因の一つです。

【ホームセンターでは買えない?】ウリン材の入手方法

ウリン材を使用する際は、いかに曲がりや反りのないまっすぐなものを手に入れるかがポイントです。硬い材質のため取り扱いが難しく、曲がりや反りがあると加工が難しいためです。しかし、国内での流通量が少ないため、良質なウリン材を入手するのは難しくなっています。大規模なホームセンターに入荷することはあっても、選べるほどの在庫量は確保できないでしょう。またインターネット通販でも購入は可能ですが、実物を見られないため、質を見極められません。ウリン材を入手するには、製材所・材木店など木材のプロに相談するのが、最も良い方法でしょう。

ウリン材の活用方法

ウリン材は、エクステリアとしての使用が主です。しかし、最近では含有成分を抽出し他の木材に有用な効果を付加する研究もされています。

ここからは、ウリン材の幅広い活用方法について紹介します。

  • 【木材としての活用】ウッドデッキやフェンス・桟橋など
  • 【含有成分の活用】ウリンの成分を他樹種に注入

【木材としての活用】ウッドデッキやフェンス・桟橋など

ウリン材は、耐水性・耐候性・耐腐朽性に優れているため屋外での利用が多くを占めます。インドネシアやマレーシアなどの原産地では、桟橋や家の屋根などに多く用いられています。国内でも、大規模な屋外施設でウォークデッキとして使用されています。DIYでは、ウッドデッキやウッドフェンスなどとして用いられることが多いでしょう。その他にも、角材の端材を使用してブロックフェンスを作ったり、板状にして花壇の囲いや庭に敷き詰めるタイルとして使ったりという事例もあります。残った端材やリユース材を無駄なく使う方法が開発されています。

【含有成分の活用】ウリンの成分を他樹種に注入

ウリン材は木材として使用される他に、木に含まれる「耐腐朽性」や「カビ抵抗性」などの性能を有する成分を抽出して、他樹種の木材に注入する研究も進められています。端材を有効活用できるだけでなく、他の樹種にウリンと同様の耐久性・耐腐朽性を持たせられる可能性がある研究です。現在、抽出方法の確立に向けて進行中の段階ですが、実現すれば環境負荷軽減に寄与する可能性があります。

貴重な資源を持続的に有効利用する方法として期待されています。

参考:ウリン未活用材の有効利用技術の開発|京都大学

まとめ

ウリン材は耐水性・耐久性・耐腐朽性などに優れた木材です。その特徴を生かして、原産地では桟橋や家の屋根など雨や水の影響を受けやすい環境にも多く用いられてきました。日本でもウッドデッキやウッドフェンスなどのエクステリア用の木材として人気が高まっています。しかし、ウリン材は耐用年数が長い木として需要がある一方で、加工の手間や入手の難しさといった特徴もあります。

導入を検討する場合には、製材所や材木店など木材のプロに依頼するのが最も良い方法と言えるでしょう。

この記事をシェアする

おすすめの記事

おすすめキーワード

eTREEに情報を掲載しませんか?

eTREEでは、木材関連の情報をご提供していただける
木材事業者様、自治体様を募集しています。

現在募集中の情報はこちら