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記事公開:2024.5.27

木質ペレットとは?|環境にやさしい理由や燃料としての特徴も解説

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近年、環境に優しいバイオマス燃料の一つとして「木質ペレット」が注目されています。
しかし、木質ペレットがどのようなものなのか、どのように作られているのか知らない方も多いでしょう。

そこで本記事では

  • 木質ペレットの特徴や種類、
  • 木質チップとの違い
  • 使い方や入手方法について

を紹介いたします。

木質ペレットとは「木質バイオマス燃料の一つ」

木質ペレットとは、建材として使われることのない間伐材や細い丸太などを加工して作ったバイオマス燃料の一つです。

乾燥した木材を粉砕し、圧力をかけて直系6〜8mm、長さ5〜40mmの円筒形に圧縮成形して作ります。
主に家庭用のペレットストーブや、工業用ボイラーの燃料などとして使用されます。
ペレットストーブとは、木質ペレットを燃料として使用する暖房機器です。

参考:木質ペレットとは?|京都市情報館

木質ペレットの特徴

木質ペレットの大きな特徴は下記2つです。

  • 環境に優しい
  • 着火性に優れ、発熱量が大きい

木質ペレットの原料は全て、森林から出る多種多様な木質系資源です。
間伐材や細丸太だけでなく、製材工場から発生する樹皮やのこ屑、端材も含まれます。
そのため、燃焼時にも化石燃料のように大気中の二酸化炭素を増加させることもありません。
本来廃棄されることの多い木材も原料になるため、環境に優しい資源と言われています。

また、含水量が少なくなるように圧縮成形されているため、のこ屑や端材をそのまま燃焼させるよりも着火性や発熱量にも優れています。

参考:木質ペレットとは?|一般社団法人日本木質ペレット協会

木質ペレットと木質チップの違い

木質ペレットに近い木質資源として、木質チップがあります。
木質チップは、木質系原料を切削もしくは破砕し、木片状にしたものです。
ウッドチップとも呼ばれ、木質ペレットと同様、使われることのない木材を原料に作られます。
製造方法の違いによって、下記2種類に分けられます。

  • 切削チップ:フレーク状
  • 破砕チップ:棒状

木質チップは木質ペレットとは違い、形状が不揃いで含水率にばらつきがあるため、多くは製紙用パルプの原料として利用されます。

木質ペレットのメリット・デメリット

木質ペレットのメリットとデメリットは下記です。

【メリット】

  • 廃棄されるはずの木質系資源が有効活用できる
  • 林業・林産業の活性化につながる

【デメリット】

  • 生産コストがかかるため、供給不足になる可能性がある

廃棄されるはずの素材を利用しているため、有限である木質系資源を有効活用できます。
加えて、生産体制を構築することで林業・林産業の活性化につながります。

その一方で、急速な人気の高まりから供給不足になる可能性が出てきています。

木質ペレットの素材は、間伐材や製材工場から発生する樹皮やのこ屑、端材です。
燃料用材としての取引価格は、当然建材としての取引価格よりも安価になるため、木質ペレット生産のためだけに木材を準備するのは現実的ではありません。

今のままでは、木質ペレットの需要が高まった場合に安定的な供給ができない可能性があるため、仕組みづくりが急がれています。

木質ペレットの種類

ここでは木質ペレットの種類について詳しく解説します。
木質ペレットは、原料として使われる木材の部位によって、下記3種類に分かれます。

  • 木部ペレット
  • 樹皮ペレット
  • 全木(混合)ペレット

それぞれ詳しく見ていきましょう。

木部ペレット

木部ペレットは、樹皮を含まない「木質部」を原料としたペレットです。
樹皮を含まず全体的に白色であるため「ホワイトペレット」とも呼ばれています。

海外では製材工場から出る「のこ屑」を原料にしたものが主流です。
主にペレットストーブの燃料に使用されます。

樹皮ペレット

樹皮ペレットは、その名の通り樹皮を主原料として製造されたペレットです。
Bark(樹皮)から、バークペレットと呼ばれています。
丸太を木材へと加工する際に生まれる樹皮を有効活用しています。

全木(混合)ペレット

複数の素材を混ぜ合わせた下記2つのようなペレットがあります。

  • 全木ペレット:樹皮付き丸太を原料としている
  • 混合ペレット:木部と樹皮を任意の割合で混合したものを原料としている

混合率によって品質が左右されるため、購入する商品の詳細は必ず確認しておきましょう。

木質ペレットの使い方

木質ペレットは、下記のような使い方をされます。

  • ペレットストーブの燃料や薪代わり
  • 猫砂

主には燃料として使われますが、最近では「猫砂」として利用する方も多くいます。
一つずつ詳しく解説します。

ペレットストーブの燃料や薪代わり

木質ペレットは、主にペレットストーブや焚き火の燃料として使われます。
薪として利用するのも良いですが、ペレットストーブの燃料として利用すれば下記のような多くのメリットを得られます。

  • 二酸化炭素を増加させることがなく、環境に優しい
  • 軽量でかさばらないため、貯蔵スペースが少ない

しかし多くのメリットを得られる一方で燃焼後は灰が発生するため、回収が必須です。
後処理で少し手間がかかることがデメリットといえるでしょう。

猫砂

近年木質ペレットは下記のようなメリットから、猫砂の代わりに使われることも増えています。

  • 消臭効果の期待
  • 衛生的
  • 安価

木質ペレットの原料となる木材の種類によっては、消臭や抗菌の効果が期待できるものもあります。
さらに排尿後には粉状になって、すのこの下に落ちていくため、衛生的にも安心して使用できます。
一般的な猫砂よりも価格が安いのもメリットと呼べます。

木質ペレットの入手方法

木質ペレットの入手先としては、下記4つが挙げられます。

  • ホームセンターで購入
  • インターネット通販で購入
  • ペレットストーブ販売店・施工業者から購入
  • 森林組合・林業会社から購入

それぞれの購入単位や価格も合わせて紹介します。

ホームセンターで購入

ホームセンターでは比較的小さな単位から購入できるのが特徴です。
10kg単位での販売が多いものの、商品によっては1kg単位で購入できるため、少量で購入したい場合に便利です。
価格は10kgで700円〜1,000円程度となっています。

インターネット通販で購入

インターネット通販では燃料ではなく、猫砂としての訴求の方が多く見られます。
20kg単位で販売されていることが多く、価格は2,000円~3,000円程度になっています。
玄関まで運搬してもらえるため、大量に購入しても安心です。

ペレットストーブ販売店・施工業者から購入

燃料としての木質ペレットを手に入れたい場合は、ペレットストーブの販売店や設備施工業者に問い合わせるのが良いでしょう。
樹種にこだわった商品が販売されていることもあります。

10kg単位で販売されていることがほとんどですが、店舗によっては、100kg単位での大量購入に対応しているところもあります。
価格は10kgで700円〜程度の価格です。

森林組合・林業会社から購入

森林組合や林業会社でも木質ペレットを販売していることがあります。
常時在庫を置いている訳ではなく、予約を受けてから生産して送付する方法をとっている場合もあるため、購入したいときには確認が必要です。

10kg単位で購入できるところが多く、価格は他の入手方法よりも多少安価になる傾向があります。

まとめ

木質ペレットは、環境負荷が少ないバイオマス燃料の一つです。
これまで廃棄されてきた樹皮や間伐材など多様な木質資源を無駄なく有効活用できるため、有効活用できる点も注目されています。

一方で、建材として販売するよりも価格が安いため、木質ペレット単体で製造するにはコストとのバランスが取れないのが現状です。
新しい仕組みづくりや地産地消で輸送コストを削減するなどで需給関係を安定化させることが、木質ペレットの普及拡大の鍵となるでしょう。

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