森の未来会議
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記事公開:2022.12.5
2022年9月09日
オンライン開催
9月9日(金)19時~
森の未来会議 Vol.13 「米もお酒もつくります。柳沢林業の考える林業とは?」を開催しました。
ゲストには、株式会社柳沢林業の原 薫様(代表取締役)をお招きしました。
講演では、原様がなぜ林業に携わるようになったのか、柳沢林業の代表になったのか、どのような視点で林業を見、今後はどのような林業を目指されているのかなどをお聞きしました。
原様は実家が林業だったわけではなく、また、林業を目指していたわけではありませんでした。林業に携わるまでを簡単に箇条書きすると
ということでした。ここまででも紆余曲折していますが、まだ柳沢林業に出会ってません(長野にも行っていません)。
その後、KOA森林塾の島﨑さんに師事したり、信州で炭焼きをしていた職人(のちの旦那様)をお手伝いしたり、個人林家で仕事をしたりなどを経て、移住した先の同じ町内であった柳沢さんと出会うことで柳沢林業に入社されました。
当時の柳沢林業は5人ぐらいで、造林が主の森林組合の下請けとして素材生産がメインで、特殊伐採やシイタケ原木の切り出し、薪づくりなどをしていたそうです。
ただ、カラマツを市場に出しても買われずに県外に出ていくことや、皆伐で広葉樹まで切ってしまわないといけないなど、現場仕事は楽しいが、山づくりについて疑問に思うようになったそうです。
その後、原様は当時の代表から代表就任の打診はあったものの、ヨガに出会い一時期柳沢林業を離れるも、ふたたび柳沢林業に戻り、代表に就任したそうです。
ざっくりまとめていますが、ここまででトークセッションの40分ほど使用してしまいました。ただこの紆余曲折が原様の根っこの部分を形作り、新しい柳沢林業に活かされているのだと思います。
さて、原様は代表就任してから、「とにかく社員が幸せを実感できる会社にしたい、その結果良い山ができる」というのを目指すことにしたそうです。経営していくうちに外的要因(国策や災害など)に振り回されることや法人化や森林組合の関係などの変化から自立するため経営計画を立てるようになり、単なる下請けから元請けもするようになりました。
周りが山に囲まれている松本市民でも、森林への関心は低かったそうです。
その中で、馬搬の馬(ヤマト)が来てくれたことで街の人と山、森林との距離が近くなりました。
山の話をすると大事だと誰しもが言う。一方で木材を買うという関わり方はハードルが高い。そのため、米作りや酒造りをすることで自然と人とのかかわりを増やし、それに必要な「水」の出どころである森に関わりを増やせると考えたそうです。山を大事だという街の人に、何ができるか。その一つの答えを出すことができました。
浅野から最後にした「原様にとっての林業とは」との問いに「自然(しぜん)から自然(じねん)を目指すことと答えられました。
自然(しぜん)と言うと、ネイチャーの訳語として充てられてから読まれだして、西洋的な思想でコントロールできる対象物のような意味合いも持つそうです。
一方で自然(じねん)というと、「人も含んだ環境」を指すそうです。
自然に一番近い存在である私たち(原様、柳沢林業)が自然(じねん)という考えを基準とした社会を実現できるのでは。さらにそれができるのは一次産業といっても良いが、漁業も農業も、森林から流れている水が重要になっている。つまり、林業は重要な立場にいる。その想いをもって、ハード面(街づくり)やソフト(人としての社会づくり)面を林業から構築したい。それが広がって地域づくりできると良い、という言葉で締められました。
紆余曲折あった原様の人生から、柳沢林業がなぜ、馬搬や米作り、酒造りをしているかがわかりました。
原様の「スマホなど電話代にはお金は出せるのに、なぜ生きていくのに必要なものにお金が出せないのか」という言葉にもハッとさせられました。
また、「林業を始める前に勉強することはありますか?」という学生の質問には「現場に行ってください。山が全部教えてくれる。五感六感を使って感じることが必要。」と様々な現場を見て体験してきた原様ならではの言葉がありました。皆さんもぜひ現場に出てもらえればと思います。
今回は機器トラブルもあり、ご来場+ご視聴いただいていた皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
今後に活かし、より良いイベントになるよう努めていきます。
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