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2023.6.7
青森県には青森ヒバを始めとした、多様な樹種がバランス良く分布する森林が存在します。白神山地や下北半島と聞いて、豊かな森林地帯を思い浮かべる方も多いことでしょう。
本記事では、青森県で生産される木材について解説します。「青森県の木材の活用方法を知りたい」「青森県の県産材を使って家を建てたい」という方に向けて、県産材の活用事例や、普及に関する補助金などについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
青森県は、県内の森林面積が日本で第9位の森林県です。岩木山、白神山地、下北半島など、景観的にも優れた森林資源が多く存在することでも有名です。青森県では、厳しい環境に耐えて生育した良質な木材が産出されることでも知られています。そこでまずは、青森県を代表する県産材について解説します。
日本三大美林のひとつにもなっている「青森ヒバ」は、昭和41年に青森県の木に指定されました。ヒバは栃木県日光付近から、北は北海道渡島半島までを範囲とする地域に分布しています。その中で、青森県はヒバの一大産地です。ヒバは湿気に強い性質を持つため、多湿な日本の風土にも順応し、建物を造る際には構造材や床材としても重宝されています。
青森県では県南地域でアカマツが多く生育し「南部アカマツ」と呼ばれています。アカマツは耐久性があまり高くないものの、曲げ方向への強度が高いため、梁などの横架材としての利用に適しています。また、油分を多く含む艶のある木肌は、年月とともにあめ色に変化していくのも美しく、内装材としても人気の高い樹種です。
青森県内全域で生育しているスギの多くが戦後に植林されたもので、今まさに主伐期を迎え、資源としての利用期となっています。青森県では、日本で4位のスギ人工林面積を有しています。
スギは、水に強い性質を持つため、湿度の高い日本の風土に適していることに加え、加工しやすい適度な柔らかさと肌触りの良さが特徴です。そのため、構造材から内装材まで幅広い用途で利用されています。蓄積量が多いため、価格が手ごろになりやすいことも魅力の一つです。
ブナは青森県内全域に分布していますが、特に白神山地の原生林が有名です。奥入瀬渓流には、日本一の巨木「森の神」も存在します。青森県のブナは全国1位の蓄積量で、県名の水源かん養などに大きな役割を果たしています。
水分を多く含む特徴から建築材としての利用は難しいものの、家具やおもちゃ、楽器などで利用されることの多い樹種です。
青森県の木である「青森ヒバ」は「木曽ヒノキ」「天然秋田スギ」と並ぶ、日本三大美林の一つです。「青森ヒバ」の天然林の8割強が、津軽・下北地方に分布しており、その蓄積量は「木曽ヒノキ」の約3倍、「天然秋田スギ」の約10倍にも上ります。
青森ヒバは耐久性が高いことも特徴です。岩手県平泉町にある中尊寺の金色堂では93%が青森ヒバで造られています。建築から800年経過した1962年に修復された際には、7割以上が再利用されたことからも、その耐久性の高さが証明されています。
ヒバは、ヒノキチオールという成分を多く含んでいます。ヒノキチオールの特徴は、すがすがしい香りと殺菌・抗菌・防虫などの効果です。「青森ヒバ油」という名称で商品化されている精油は、豊富なヒノキチオールの特徴を生かし、身体の痛みや緊張を和らげるリラックス目的やサルモネラ菌や大腸菌などへの殺菌・抗菌、蚊やダニなどへの防虫などの用途で活用されます。
「青森ヒバ」は雑貨から家具、建材までさまざまな形で活用されています。その活用事例をいくつか紹介します。
ヒバ油は以下のような方法で使用することができます。
青森ヒバを使った道具や雑貨を手作りしているT-factoryでは「日々使うものこそ、上質で心地よく楽しめるものづくりを」というコンセプトで、さまざまな木工製品を生産しています。オンラインストアには、オーダーメイドもできる製品が多数、掲載されています。
青森県下北半島に会社を構える、有限会社村口産業が手がけるのが、青森ヒバ専門店「わいどの木」です。「わいど」とは「私たち」を意味する下北半島の方言です。
下北半島の特産品でもある「青森ヒバ」の無垢の木を利用して、建材だけでなく、テーブルや靴箱、棚など家具のオーダーメイドもおこなっています。個人の注文だけでなく、保育所や企業の応接室などへも対応可能です。送料をできるだけ抑えるため、板材を使って、組み立て式で生産されることも特徴と言えるでしょう。
参考:わいどの木
青森県では豊富な森林資源の活用拡大に向けて、さまざまな施策をおこなっています。ここでは代表的な取り組みや補助金を解説します。
国土交通省で平成27年度から実施している「地域型住宅グリーン化事業」では、木造住宅の供給拡大による地域の住文化の継承や街並みの整備を始め、地域の林業や木材関連事業者の連携を通じた木材需要の拡大などを目指しています。
支援対象となる木造住宅に最大140万円の補助金が支給されるこの事業に、令和4年度から、上限40万円/戸という補助額の加算措置が創設されました。加算措置には、伝統的な建築技術の継承に資する住宅であることが求められています。
これを受けて、青森県では「地域住文化要素基準」として新たに12個からなるガイドラインを設け、取り組みを強化しています。
青森県では平成23年に「青い森県産材利用推進プラン」を策定し、公共建築物への県産材の利用拡大に取り組んできました。
これは、その前年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号)」に基づくものです。令和3年にこの法律が改正されたことを受け、青森県でもプランの改定をして、県産材の更なる利用促進に取り組んでいます。
新しいプランでは、木材の利用促進によって脱炭素社会の実現を目指すことが新たに明記された他、原則木造化の対象が低層建築物から建築物一般に拡充されています。
青森県では、一般消費者からの県産材に関する問い合わせ窓口である「ワンストップサービス窓口」があります。これは、青森県森林組合連合会が事務局となって設立された「青森県産材認証推進協議会」が設置したものです。
窓口では、県産材を使用した住宅を建築する場合の設計士や公務店の紹介、県産材を利用した家具や工芸品を扱う事業者や製材所の紹介もおこなっています。
青森県内では、以下のように県産材普及に取り組む代表的な事業者があります。
各事業者について、簡単にご紹介します。
青森県木材協同組合は1979年に「青森ヒバ材を使用した木工製品・木造住宅の紹介」と「青森ヒバの原木・製材品の販売」を業務内容として設立しました。
ホームページでは、青森ヒバのルーツや歴史、ヒバの生息地や大型建造物の紹介など、青森ヒバに関する情報を見ることができます。また、青森ヒバ製品、製材の販売、家造りをおこなう企業の紹介などを調べることも可能です。
参考:青森県木材協同組合
三八地域県産材で家を建てる会は、地域材を活かした住宅建築の促進と地域振興を目的に、八戸市で設立された団体です。青森県産材の活用を目的に設立された「SOMA青い森プロジェクト」にメンバーとして参加しています。
このプロジェクトは「森林保護と林業再生による地域活性化」と「豊かで心地よい都市生活の実現」を同時に目指し、都市のマンションなどでも利用できる可動式大型家具の開発を中心に活動しています。
「青森スギで家を建てる中南地域会」は、「地域の風土に根ざした住み心地の良い」「耐久性に優れた」「県産材の木造住宅」を提供することを目的に設立されました。
団体には、建築設計事務所、木工・木材工務店、加工・プレカット業者、森林組合など16の事業者が連携することで、県産材を利用した家造りに取り組んでいます。
青森県で育成するスギを始め、ヒバ・アカマツ・カラマツなどの良質な県産材をふんだんに使用して、地元の匠たちが確かな技術で家造りを行うことをモットーに、情報発信もしています。
ここからは、下記の青森県の県産材を利用した建築物を紹介します。
青森県の県庁舎は、耐震と長寿命化を目指して平成31年に減築改修工事が行われました。改修に際しては県産材が多く使われた他、改修前に議場で天井板などに使われていたヒバ材の約4割が外壁材として再利用されています。長寿命化を目指した改修工事であるため、外壁につかったヒバ材がエコガラスで保護されている点が特徴です。
県産材を多く使用することで、外壁を補強するだけでなく、地域のアイデンティティを表現したり、訪れる県民に県産材を広くアピールしたりすることにもつながっています。
板柳中学校は、防火壁まで県産材を利用した純木造校舎です。「燃えしろ設計」をおこなうことで、使用した木材の表面を別の素材で覆う必要がなく、木質のデザインを最大限に活かした校舎となりました。柱や梁などの構造材には県産カラマツやスギ、土台には県産ヒバが活用されています。
また、5,000㎡を超える、国内最大級の木造校舎ですが、木質二方向のラーメン構造を採用したことで、高さ11.5mの吹き抜けがある大階段ホールなど、開放感のある大空間を実現していることが大きな特徴です。
本記事では、青森県の木材の種類や特徴と合わせて、県産材活用に関する取り組みや補助金に関して解説しました。
青森県は県の木であるヒバを始め、アカマツ、スギ、ブナなど、多様な樹種がバランスよく分布し、森林面積が全国9位の割合を占める森林県です。
青森の県産材は「ヒバ油」や雑貨、組み立て式の家具まで、さまざまな用途の製品に利用されています。
豊富な森林資源を背景に、県産材利用拡大を目指す青森県では「青い森県産材利用推進プラン」を策定し、特に、家造りの分野においては、補助金の創設やワンストップサービス窓口の設置によって、県産材のさらなる普及拡大を目指しています。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
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