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2023.5.26
日本にある建築物では、木材・木質建材といった建材が利用されています。
しかし、建築基準法で定められているように中大規模建築物の主要構造部は一定の耐火基準を満たす必要があり、木材・木質建材の使用が難しい場合があります。
これに対し、令和2年2月にJAS認証を取得した木質建材の「超厚合板(CLP)」は、中高層建築物の接合部として採用されるなど、木材の新たな用途に注目が集まっていることをご存じでしょうか。そこで本記事では、超厚合板(CLP)の基礎知識を詳しく解説します。
超厚合板(CLP)のメリット・デメリットや、活用例も紹介しているので、木質建材の魅力をチェックしていきましょう。
目次
超厚合板(CLP)とは、合板の中でも最大の厚みである50mm合板のJAS認証を取得した木質建材のことです。
一般に普及している厚物合板(普通合板・構造用合板など)の最大厚が30mm程度であるのに対し、それを上回る厚みを確保できます。強度・断熱性・遮音性に優れ、中高層建築物にも利用できる木質建材として注目されています。
現在まで、中高層建築物といえば、鉄骨やコンクリートを使った構造躯体が当たり前でした。一方、中高層建築物に超厚合板(CLP)を利用できるようになれば、建材がCO2を吸収・固化し、脱炭素化を目指せるだろうと注目されています。
超厚合板(CLP)は、令和2年2月にJAS認証を取得した超高強度の木質建材です。以下に、超厚合板(CLP)の規格を整理しました。
厚さ | 50mm |
幅 | 910mm・1,000mm |
長さ | 1,820mm・2,000mm |
樹種 | 針葉樹 |
接着性能・強度等級 | 特類 2級 |
板面品質 | C-D |
ホルムアルデヒド放散量 | F☆☆☆☆ |
出典:SEIHOKU 合板事業
超厚合板は、フェノール樹脂接着剤等を使った特類の接着性能をもっています。ホルムアルデヒド放散量も低く、健康被害を生じにくい木質建材として利用できるのが特徴です。
また、強度等級は2級であることから、現状としては、壁・床・屋根などの下地材といった用途で使用できます。ただし、厚さ200mmを確保することによって、木造ビルの接合部材として使用されたケースもあるようです。研究が進むことによって、いずれは本格的に中高層建築物の主要構造部材として活躍すると期待されています。
超厚合板(CLP)は、以下に示す3つのメリットを有しています。
それぞれ、中高層建築物の建材として必要不可欠な要素です。各メリットの特徴を見ていきましょう。
超厚合板(CLP)は、一般的な合板よりも強度に優れています。
積層数を増やすことによって耐久性を向上でき、低層建築物のみならず、中高層建築物の主要構造部材としても利用できるポテンシャルがあります。
超厚合板(CLP)は、積層数を増やせることから、断熱性に優れています。
外気による室温の変化を防止でき、高断熱な建築物を生み出せるのが特徴です。季節の変化、寒暖差の激しい日本の気候において、生活しやすい住まいをつくる建材として活用できます。
また、高い断熱性によって空調設備を節約し、エコロジカルな生活を生み出せる建材としても利用できるでしょう。
超厚合板(CLP)は、もともと遮音性に優れる木質建材であること、そして積層数を増やせることを含め、高い遮音性を保有しています。
中高層建築物で一般的に利用されている「鉄骨」といった主要構造部材は遮音性に劣り、室内空間に音を反響させてしまうのが課題でした。一方、超厚合板(CLP)であれば、中高層建築物にも高い遮音性を付与できます。
高性能な木質建材である超厚合板(CLP)ですが、一部デメリットになる項目があります。
超厚合板(CLP)を安心・安全に主要構造部材として利用するために、こちらで紹介するデメリットを理解しておきましょう。
超厚合板(CLP)は、令和2年2月にJAS認証を取得した木質建材なので、まだ普及途上中だというデメリットがあります。
超厚合板(CLP)を使用したという事例が少ない状況です。今後時間をかけて普及していくと思われますが、価格や共有の安定まで、まだ時間がかかりそうだと理解しておきましょう。
また、普及が進んでいない一方で、現在SDGsの木材に関する取り組みが実施されています。林野庁のSDGsの取り組みの中には、バランスの取れた林業・木材産業をつくるべきだ、と記されており国内の木材需要を高める必要性があることから、今後、中高層建築物で利用できる超厚合板(CLP)の需要が高まっていくのではないかと予想できます。
最後に超厚合板(CLP)に期待されている活用例を以下の2項目に分けてご紹介します。
超厚合板(CLP)は、高い強度をもつことから、コンテナユニットへの利用に関する研究が進んでいます。超厚合板とCLT、接合金物などを組み合わせて建築することで、鋼材の利用を最小限に抑えることができるのではないかと期待されています。
超厚合板(CLP)の高い強度を活かし、ガードレールの木製ビームとして利用する研究が進んでいます。また、防草パネルとしての利用に関する研究も始まっています。
木材・木質建材は、低層建築物に利用される建材として認識されていました。一方、令和2年2月にJAS認証を取得した「超厚合板(CLP)」なら、中高層建築物の主要構造部材としても利用できるポテンシャルをもっています。
すでに、超厚合板(CLP)を使ったビル・マンションなども建築されており、建築物の安全性が保証されています。今後、SDGsの発展に伴い、超厚合板(CLP)も広く普及していくと予想できるでしょう。
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