防音性は建物構造でどう違う?鉄骨・RC・木造の違いを解説

eTREE編集室

建物構造には、防音性の低いものと高いものが存在します。

防音性に優れた構造の住居を選ぶことは、快適な生活を送るために有効な手段の一つです。本記事では、防音性の違いを始めとして、構造ごとの建物の特徴を解説します。

加えて、部屋選びに役立つ防音性のチェック方法や、騒音トラブルを避けるポイントも紹介します。防音性を重視した住居探しや、トラブルを避ける防音対策などが分かるので、ぜひ参考にしてください。

建物の構造による防音性の違い

建物の耐震性・耐火性・通気性などを左右する建築構造は、防音性にも影響を与えます。

建物の階数や用途、かけられるコストなどによって、採用される構造はさまざまですが、代表的なものは下記の3つです。

  • 木造
  • 鉄骨造
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)

それぞれの構造の特徴と防音性の違いを説明します。

【低い防音性】木造

柱や梁の骨組みに木を使用する木造は、3つの建物構造の中で最も防音性が低いとされています。戸建て住宅や小規模アパートに多く見られる構造で、戸建て・マンションを含めた国内住宅総数の6割近く、一戸建てに限れば9割を木造が占めています。

木造は、建築コストが低く、通気性が高い反面、防音性や耐久性は他の構造に劣るため対策を講じる必要があります。

参考:平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要|総務省統計局

【素材や施工に左右される】鉄骨造

条件によっては木造よりも多少防音性が高いのは、建物の骨組みに鋼材を使った鉄骨造です。鋼材の厚さが6mm未満の軽量鉄骨造と、6mm以上の重量鉄骨造の2種類に分かれます。軽量鉄骨造は、壁の空洞に防音材が施工されていなければ、木造と変わらない防音性です。

コンビニや小規模店舗に使われ、規格化された材料の大量生産で材料費・人件費を抑えられますが、間取りの自由度は低いという特徴があります。

一方、重量鉄骨は木造よりも厚い壁である場合が多く、防音性は高くなります。

スーパーや3階建て以上のマンションなどに使われ、間取りの柔軟性や耐震性・耐久性が高い一方、建築コストは高くなりがちです。

【高い防音性】鉄筋コンクリート造(RC造)

大規模な商業施設やマンションに使われる鉄筋コンクリート造(RC造)は、3つの建物構造の中で最も防音性に優れています。

複数の鉄の棒で作った骨組みに、流し込んで固めたコンクリートで柱・梁・壁・床を構成しており、高い耐久性・耐震性・耐火性を誇ります。一方で、築コストや解体コストは高く、気密性の高さからカビや結露が発生しやすい面もあります。

防音性を見分けるために押さえたいポイント

音の問題が生じやすい集合住宅では、賃貸・分譲に関わらず、事前に防音性を確認したいところです。建物構造は、防音性を決める重要な要因に違いありませんが、それだけが全てではありません。部屋を決める前に、自分でできる防音性の見極め方を紹介します。

【内見前】間取りや部屋の位置

内見前に、騒音が通りやすい部屋かどうかはある程度見当がつけられます。

まずは、間取りを確認しましょう。

隣人の生活音が聞こえやすいかどうかは、間取りの影響も大きいものです。隣室との境に収納スペースがある場合、防音効果を期待できます。逆に、お互いの生活空間が壁一枚のみで隔てられている場合は、生活音が漏れやすい可能性があります。

部屋の位置にも注目してみましょう。

上階の部屋の物音が気になるなら、最上階を選ぶのがおすすめです。逆に、自分の出す音が階下へ響くのが気になるなら、1階や階下が店舗の部屋を選んだ方がのびのび暮らせるでしょう。

また、階数に関わらず、左右を隣室に挟まれた中部屋よりも、角部屋の方が騒音トラブルに巻き込まれる可能性は低いといえます。

【内見時】音の響き方

内見時、空間と壁の両方で音の響き方を確かめましょう。

室内で手を叩くと響くようであれば、壁が音を跳ね返しているので、部屋の遮音性が保たれている可能性が高いです。響かない場合、壁に吸収されているか、隣室に音が漏れていると考えられるので要注意です。

また、壁自体の防音性も確認しましょう。

注意したいのは、建物構造だけで防音性が決まるわけではないという点です。防音性に優れたRC構造であっても、居室を区切る壁は防音性の低い石膏ボードという場合もあるからです。

壁を叩いて中身が詰まった低い音がすれば、高い確率で防音材が詰まっているでしょう。空洞のような軽く高い音がする壁は、防音性が低いと考えられます。

また、最近では環境に配慮したサスティナブルな防音材も登場しています。気になる方は、下の記事もご覧ください。

【騒音トラブルを避ける】音源ごとの防音対策

生活騒音が原因のトラブルは、誰にでも起こり得ます。

日本に生活騒音を規制する法律はないため、当事者同士の話し合いや住宅の管理人に相談して解決策を探ることになります。場合によっては、公害調停や民事訴訟に発展する可能性もあるため、そうなる前に各自で防音対策を取ることが大切です。

騒音の種類ごとに対策方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。

家電の運転音

電気機器」による騒音は、生活騒音発生源の23%程度を占めます。

洗濯機や掃除機など、使用時間をコントロールできるものは、深夜・早朝の使用を避けるだけでもトラブルは減るでしょう。

また、振動が気になる洗濯機や冷蔵庫は、防振マット・消音マットを使いましょう。夜に稼働することが多いヒートポンプ給湯機は、騒音トラブルになりやすいため、近隣住民に配慮して設置する必要があります。

一般社団法人日本冷凍空調工業会が、据え付けのガイドブックを作成しているので参考にしましょう。家電購入時に「騒音値」をチェックして、静音設計タイプを選ぶのも騒音対策には有効です。

住宅設備や家具の使用音

ドアやお風呂など住宅設備から出る音、家具の移動による音も、騒音になり得ます。ドアは静かな開け閉めを心掛けることに加えて、緩衝材になる隙間テープを貼るのも防音対策になります。お風呂の給排水は、深夜・早朝を避けましょう。

椅子を引くなどの家具の音は、床にマットやカーペットを敷いたり、脚にフェルトを貼ったりすることで抑えられます。また、防音フローリングを施工することで、これらの使用音を軽減させる方法もあります。

気になる方は、下の記事もご覧ください。

オーディオ機器や楽器の音

オーディオ機器やテレビの使用は生活の楽しみでもありますが、他人にとっては不快な音になる場合も多々あります。

音量を上げすぎないように注意し、夜間・早朝はイヤホンやヘッドホンを使いましょう。

楽器の音も同様です。演奏する時間帯に配慮するのはもちろん、場合によっては防音室の導入も選択肢になります。

まとめ

建物の防音性は構造によって異なり、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の順で低くなります。

建物構造が防音性を決める一因であることは間違いありませんが、鉄筋コンクリート造りだからといって絶対安心というわけでもありません。

間取りや部屋の位置、壁の施工状態、騒音の種類によっても聞こえ方やストレスの感じ方は変わってきます。騒音トラブルを避けるには、生活スタイルや家族構成などを考慮して建物構造や間取りを選び、加えて、内見時の防音性チェックや生活騒音への対策も大切です。

また、肝心の防音材についても様々です。森未来はサステナブルで高い防音機能を備えた床、壁の下地材も取り扱っています。

気になる方は、ぜひお問い合わせください。

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