木材加工

2022.12.20

突板とは?|突板の用途や突板製品の特徴を解説!

eTREE編集室

木の家具や建具、床材は、優しい見た目と風合いで私たちの暮らし心地や居住空間の快適性を高めてくれる、身近な存在です。

実は、そんな木製の家具や建具、床材の表面は、一見、同じようにみえてもその仕上がりや構造によって無垢材突板などに分けられます。

例えば、無垢材でつくられた家具と、突板でつくられた家具を比較すると、様々な面で異なる特徴をもっています。そこで今回は、無垢材と突板の違いを含め、突板の用途や製品の特徴を解説します。これらの特徴を理解して、それぞれの生活にあった木材製品を暮らしに取り入れてみてください。

無垢材と突板の違いを理解しよう

まずは、無垢材と突板、それぞれの素材としての違いを理解していきましょう。どのようにして材料となる原木から素材がとられていくのか、どのような加工がされていくのか、そしてどのような用途で使われていくのかを紹介していきます。

無垢材とは?

無垢とは、「まじりけのない」「純粋な」などの意味があり、すなわち、無垢材とは、材料となる丸太の原木から木をそのまま切り出した木材をいいます。用途によって種々の形、寸法に製材され木材製品に仕上げていきますが、切り出し方によって見た目や性質が変わってきます。

より良い木材製品を作っていくには、樹種ごとの特徴を熟知していることや木一本一本の違いを見極められることなど、経験が必要になってきます。

無垢材の用途

無垢材は木材の切り出し方や加工の仕方によって、家具や建具、床材などの内装やインテリアはもちろん、建築物の構造材や下地材といった建築資材など様々な用途に用いることができます。

一般的に、テーブルなどの一枚板家具を無垢材で作ろうとする場合、丸い原木から四角い板材を切り出すので、一枚板の幅が大きくなるほど、また、厚くなるほど、高い価値が付きます。また、複数の無垢材を接いで(水平面で組み合わせて)テーブルを2枚接ぎテーブルと言います。

突板とは?

一方、突板とは原木から木材を薄く(0.2〜0.6mmほど)スライスして切り出した板になります。通常は集成材やMDFといった芯材の上に貼り付けて使用され、断面を見ると、スライスされた板の芯材の層がみえます。スライスする方法は大きくふたつあり、大根をかつら剥きするように原木からくるくると木材を切り出す「ロータリー加工」という方法と、板目や柾目など目的となる部分にあわせて木取りを変えて一枚一枚切り出していく「スライス加工」という方法があります。

突板の用途

突板はメインとなる部材がとても薄いため、原材料のコストカットが実現できます。また、効率的な製造方法が確立されていることから機械化大量生産化が可能となります。このような特徴から、突板はほとんどが表面化粧材として、家具や建具、床板など私たちが普段目にしたり、触れたりするものに用いられています。

無垢材のメリット、デメリット

無垢材と突板がどのようなものなのかをご紹介したところで、続いては、無垢材でできた家具や建具、床材などのメリットやデメリットをご紹介していきます。

メリット① 本物志向のニーズへの適応

家具や建具、床材などのインテリアに無垢材を用いる最大のメリットは、やはり木そのものがもつ肌触りや質感、また香りなど五感で感じられることでしょう。無垢材のインテリアは、大切に扱えばとても長持ちする「一生もの」です。毎日の暮らしだからこそ本物にこだわりたい、本物に触れて心豊かに暮らしたいといった方には無垢材はぴったりだと思います。

メリット② 自然な風合い、経年変化を楽しめる

無垢材ならではの特徴として、経年変化(エイジング)があります。たとえば本革の製品が長年の使用によって色つやが変化するように、木材も時間の経過と共に色つやが変化し、味わいが増してきます。また暮らしの中で使い込むと木材表面に傷がつくこともありますが、無垢材は厚み方向に貼り合わせているものがないので、中の芯材が露出してしまうようなこともなく、色味や性質に変化は起きません。

始めのころは家具や建具、床材に傷がつくと落ち込んでしまうこともあるかも知れませんが、長い年月のなかでその傷もいずれ暮らしの1ページとなっていくでしょう。

デメリット① メンテナンスが必要

一方で、無垢材の味わいや美しさを最大限に保つためには、メンテナンスが必要となってきます。油分を含むオイルやワックスを塗布することにより木材を水気や日焼けなどから適切に保護できますし、揮発成分が気になる方は蜜蝋亜麻仁油などの自然由来のワックスがオススメです。

また、多少の傷も、削ったり磨いたりすることで補修できます。このように、無垢材の家具や建具、床材はメンテナンスは必要になりますが、その分長く使い続けることができるので、「一生もの」と言われるのです。

デメリット② 膨張や収縮、反り、割れなどがある

無垢材は木がもつ吸放湿性の影響が顕著なことから、膨張や収縮、反りがでてしまう可能性が非常に高いです。皆さんはご自宅などで「家鳴り」を聞いたことはあるでしょうか。冬など、特に空気が乾燥する時期に住宅からから「ぴしっ」「パキッ」と音がする現象のことですが、これは新築木造住宅に使われている柱や梁などが乾燥によって収縮し音を発生させているのです。

また、一枚板の無垢テーブルは木表側に反ってしまうので、乾燥が不十分の場合やくるいが生じやすい樹種の場合には、必要に応じて反り止め加工を施すといいでしょう。

このように無垢材は吸放湿作用によって木材が「動く」ことがデメリットとなるので、あらかじめ注意しておきましょう。

突板のメリット、デメリット

続いて突板のメリット、デメリットについて紹介していきます。

メリット① 希少性の高い樹種や高級な木材を使いやすい

無垢のテーブルを一枚板でつくろうと思うと、寸法によっては入手しづらい径や樹種の原木が必要になり、価格も高く量産化が難しくなります。一方、突板であれば、表面の薄い板のみで済むので、一本の原木から産出される単板がより多くなり、希少性の高い樹種や高級な木材を使いやすくなります。

世界的な銘木や高級な木材で作られた家具や建具、床材などをより気軽に暮らしに取り入れたい方には、突板はとても適した材料です。

メリット② 扱いやすく価格も安価

突板は表面の薄い木材を芯材に圧着して出来上がるので、無垢材の時に見られる表面割れを緩和させることができます。すなわち、薄い単版のため木表と木裏の接線方向の収縮率の差が小さくなり、表面割れが生じにくいという物理的なものです。また、メンテナンス頻度を抑えることも出来ます。

さらに、突板は工業化されて大量生産に向いているので、各木材製品の価格も安価にすることができます。木のインテリアは好きだけど、そこにあまり手間やコストをかけたくないという方にはオススメです。

メリット③ 不燃材料としても使える

突板は、集成材やMDFなどの芯材の上に薄い化粧単板を貼り合わせると紹介しましたが、この芯材を不燃材料で仕上げることで、天然木の自然な質感を残したまま、国土交通大臣が認定している不燃性能をクリアする建材をつくることができます。

アルミニウムや鉱物質繊維と軽量ガラス質材料の組み合わせなどが芯材の原料として使われます。これにより、商業施設や医療施設、介護施設、公共施設などといったところにも、木質系の内装を取り入れることが出来るようになります。

デメリット① はがれや深い傷がつくと芯材がみえてしまう

突板で出来た家具や建具などの表面は薄い0.2〜0.6mmほどの板が貼り合わさってできているため、それ以上に深い傷がついたり、はがれなどが生じると中身の芯材が露出してしまう危険性があります。

大きな重い家具を動かしたり、湿度の高い環境に長期間放置したりすると傷がついたり、はがれを生じさせたりする原因になってしまうので、注意が必要です。

デメリット② 一生ものの家具としてはやや不向き

突板は日常的なメンテナンスが抑えられる一方で、時間の経過と共に変化してくる色つやといった経年変化が無垢材と比較して穏やかです。また、傷がつけばその傷はそのまま製品の劣化につながってしまうので、手をかけながら経年美を楽しむといった一生ものの家具としては、やや不向きな面があるでしょう。

突板の家具、建具、床材はこんな方にオススメ

これまで無垢材と突板でできた家具や建具、床材のメリット、デメリットをそれぞれ紹介してきました。続いてこの章では、どのような方に突板でできた家具や建具、床材が向いているのか、解説していきたいと思います。

インテリアにかけるコストを抑えたい

たとえば、無垢の一枚板でできたテーブルを購入しようと思うと、比較的ポピュラーな樹種で、かつ比較的小さなサイズだったとしても、全国展開している家具・インテリアメーカーのテーブル価格より高くつくでしょう。希少な樹種だったり高級な木材となれば価格はもっとあがりますし、きりがありません。

またテーブル以外にも暮らしに必要な家具はイスや棚、カウンターなど数多くありますので、それらをすべて無垢材でコーディネートしようと思うと相当大きな金額になります。

そのため、「木のある暮らしは憧れるけど、コストは抑えたい」という方には、突板は有効な解決策になってくれるでしょう。

今後のライフスタイルに変化がある

たとえば、今後一軒家を建築予定であり、そのときにインテリアをトータルコーディネートしたい、子どもが生まれる予定があり、食べこぼしや傷が心配、転勤などで引っ越しの頻度が高い、などといった方には、無垢材の一生ものの家具が、かえって重荷になってしまう可能性もあります。

また無垢材の家具などは一般的に重量が重たくなります。そのため、ライフスタイルの変化がある程度今後も予想される方には、突板の家具などで揃えるのも良いかもしれません。

オススメの突板とは?

最後に、数ある樹種のなかでも、どのような突板がオススメとなるのか、紹介していきたいと思います。

ウォールナット

ウォールナットは、チークやマホガニーと並んだ、世界三大銘木のひとつです。じっくり時間をかけて成長するため、木目が細かくしまっていてとても堅く、特に北米原産のブラックウォールナットは、木肌が黒みを帯びた茶色で深みとつやのある色味はとても美しく人気です。この落ち着いた色味から、ダイニングテーブルやイス、また床材などにもよく使われます。

タモ

タモは日本にも生育していますが、国産のタモ材は希少で多くは中国やロシア産のタモ材が使われます。ナチュラルで白っぽく淡い色味と、はっきりとした均一な木目が特徴的で、暮らしに取り入れると部屋が明るい印象になるでしょう。またナチュラルな印象から北欧スタイルのインテリアとも相性が良く、カウンターや棚、建具や床板など幅広く使われます。

オーク

オーク材はナラの仲間で、国産であれば北海道産のミズナラが多く使われます。北米原産のオークは、古くからウイスキーやワインの樽にも使われ、耐久性が高いことからアンティーク家具にもよく使われてきました。

オーク材もタモ材と同様、明るい色味があるのでナチュラルな雰囲気によくあいまずが、比較的直線的な木目からより落ち着いた雰囲気となり、家具や建具、床材など幅広い製品に使われ、飽きの来ないデザインに仕上げることが出来るでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

無垢材でできた家具や建具、床材のメリットやデメリット、突板でできた家具や建具、床材のメリット、デメリットを解説し、突板がオススメのシーンと、オススメの樹種をご紹介しました。

木のある暮らしは、私達をリラックスさせてくれ、住まい心地をより快適にしてくれます。無垢材と突板の違いを理解して、より快適な暮らしを手に入れて下さい。

森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。 その中でも、全国の木材事業者・木材加工業者とのネットワークを生かしたプロの木材コーディネーターが あらゆる木材の調達・加工をお手伝いします。

内装制限がかかるオフィスや商業施設でも不燃、準不燃に対応した突板無垢材のご提供が可能ですので、木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。

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