サステナブル
この記事をシェアする
森未来は設計士の皆様に寄り添い、木材に関するどんなお悩みも承ります。このコラムでは「サステナブル×森未来」と称し、持続可能な社会に適した木材について全3回にわたって特集します。
第1回の記事はこちら
なぜ、木材を選ぶのか / サステナブル×森未来#1
第2回の記事はこちら
「地域産材」使用が持つ特別な意味とは / サステナブル×森未来#2
地域産材を使うことは、地域の経済を回し、地域の山を守ることにつながります。
しかし、地域産材を使っても地域への還元が少なく、価格も上がってしまう、というケースを見ることがあります。
地域産材を使うことは、地域の経済を回し、地域の山を守ることにつながります。
しかし、地域産材を使っても地域への還元が少なく、価格も上がってしまう、というケースを見ることがあります。地域産材使用の落とし穴
前編では、地域産材を使うことは地域の経済を回し、地域の山を守ることにつながるとご説明しました。
しかし実は、地域産材を使用する上で意外な落とし穴があります。
地域産材を使ったけど高かった、実は地域に還元されていなかった….
そんなケースがあるのです。
都内の公共事業を落札した岡山県の施工業者が、多摩産材が指定されていることに気が付きました。そこで、よく取引している高知の材木屋さんに多摩産材の調達をお願いしました。
高知の材木屋は多摩産材を持っていないため、都内(都市部)の材木屋に見積を取りました。都市部の材木屋も多摩産材は持っていないため、多摩地域の製材所から見積をとりました。
この多摩産材は加工のために、多摩地域から高知まで移動し、再び都内の建設現場に戻ってきます。
このように、物流と商流を複数通ることによって、価格が非常に高くなってしまうケースがあります。
地域産材と聞けば、多くの人は当たり前のように、地元の山から伐り出され、地元の業者が加工し、地元の材木店から近くの現場に納品された木材を想像するのではないでしょうか。それが最も効率が良いからです。
地域産材を使用することによるメリットを思い出してみます。
①その地域の林業・木材関連業者にお金が入り、地域経済を活性化すること。
②「地域産材使用」と打ち出せることによるイメージの向上。
③輸送にかかるコストを抑え安く良質な材を入手できること。
④輸送時に排出される二酸化炭素量を抑えられて環境にやさしいこと。
このケースでは、地域産材を使ったのに、①④のメリットがなくなり、③も限定的になっています。
なぜ「地域産材」を使っているにもかかわらず、材が日本を横断して行き来するような事態が発生するのでしょうか。
山の木は伐ってすぐには使用できず、乾燥やカットをするために、実際に使用される現場に届くまでに多くの業者を通過します。
設計者の方が木材を使おうと考えたとき、思いつく選択肢は、工務店に問い合わせるか、近くの材木店を訪れることだと思います。しかし、それ以上さかのぼっていくことは難しく、木材加工業者やその間に入る流通業者の木材情報は入ってきませんし、実際に木が育っている山を見ることもほぼありません。
実は、木材事業者も同じような状況と言えます。各業者が持っている木材の情報は決まった取引先としか共有されないことが多く、別の地域の同業者とつながりを持つことも珍しい状況となっています。当然、山側から消費者の二ーズを知ることも非常に難しくなっています。
だから、地元で地域産材を使いたいだけなのに、融通が利かない。目の前にある材木店の在庫から選ぶしかなく、そこになければ諦めざるを得ない。木材業界全体でも、山から消費者までを見通せていないから、流通を合理化できない。結果として、日本を股にかけたコストのかさむ「地域産材」を使うしかない事態が生じてしまうのです。
ネットの活用が遅れていることも課題です。調べたところ、多くの製材所や材木店は、取り扱っている材木の量や質、価格をネット上のどこにも掲載していませんでした。
これでは設計者が新たにさまざまな木材を使おうと思ったとき、材木業者に一社ずつ問い合わせなければ木材の情報を入手できません。問い合わせても、業者間で規格が統一されていないため、比較が難しいこともあります。最終的に木材の使用を諦めてしまったというお話をよく聞きます。
私たち森未来は、木材業界の全体を俯瞰しながら消費者と山や木材業者をつなぎ、流通を合理化することに取り組んでいます。そのために、日本各地の多くの木材関連業者とつながり、膨大な木材情報のデータベース化を進めています。
空間のコンセプトに合わせて最適な木材をご提案し、ご要望に応じて施主様へのご説明も合わせてご一緒に考えさせていただきます。
地域産材であれば、地域の材を使い、地場の業者にお金が落ち、完成まで最小限の関係者で完結させて輸送費や人件費を最小にした木材コーディネートが可能です。
前編でご説明したように、地域産材使用は地域の経済を回し、地域の山を守ることにつながり、SDGsに貢献します。
流通まで考慮した地域産材使用は、地域の木材業界までしっかり応援することができます。
それだけでなく、輸送に伴う環境汚染を軽減し、二酸化炭素排出量の削減により地球温暖化の抑制にも貢献します(いわゆる「ウッドマイレージ」の概念)。
森未来では、二酸化炭素の排出量や木材調達プロセスをお調べしてレポートを作成することも可能です。
ここまで、分かりやすくするため単純化してお話ししましたが、材が長距離を移動すること自体は、必ずしも悪ではありません。大規模な林業では、輸送が長距離になっても流通過程をシンプルに揃えた方が合理的な場合があります。長距離輸送してでも取り寄せたい木材もあります。地産地消して狭い地域の中で木材流通を完結させることだけが林業の理想形でもありません。
森未来では幅広い木材を取り扱っており、お客様のご希望に合わせて一緒に考え、最適な木材をご提案します。SDGsなど建築のコンセプトに合わせ、ご要望によっては施主様へのご説明まで一緒に考えつつ、品質を保ちながらコストを抑えPR効果を高くできるよう、流通経路まで考慮したコーディネートを
無料の会員登録していただけると、森林、製材品、木質バイオマスから補助金・林野庁予算の解説
など、あらゆる「木」にまつわる記事が全て閲覧できます。
おすすめの記事