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2025.2.20
注目されることは少ないものの、住宅にとって重要な役割を担う「軒天」。
延焼防止や雨・日光による劣化を防ぐための大事なパーツです。
築年数が経つと、塗装が剥がれたり、腐食が目立ったり、屋根や外壁と同じく補修が必要になります。この記事では、軒天の役割や補修方法について解説しています。
目次
軒天(のきてん)とは、家の外壁から突き出た屋根の下部分にある天井を指します。
軒とは、外壁から屋根が突き出している部分です。
特に民家などでは多くの家に軒天が存在しますが、近年建てられたデザイン性重視の住宅には軒天が存在しないこともあります。
「軒ゼロ住宅」と呼ばれることが多く、スタイリッシュな印象を与えます。
「付帯部」とは、建物の本体ではないものの、機能面や美観的な面で必要な部分を指します。軒天も付帯部のひとつです。軒天の話とセットで出てきやすい付帯部について解説します。
破風は、屋根の側面に取り付けられる部分です。
三角屋根の場合、破風は二等辺三角形の上の二辺の部分を指します。
屋根の端に取り付けられており、主に風や雨から建物を守る役割を果たします。
破風も軒天の一部だと思われがちですが、実は軒天と破風は別です。
補修が必要な時は、壊れているのが軒天なのか破風なのかによって対応が変わるため、違いを覚えておきましょう。
鼻隠しは、破風と同じく屋根の側面に取り付けられる部分です。
三角屋根の場合、雨樋が付く方の軒先の先端に設置されています。
上から見た時に長方形または正方形の形をした屋根の場合、向かい合う二辺は破風、もう一方の向かい合う二辺は鼻隠しになることが多いです。
住宅の腐食を防いだり、材が丸見えになってしまうのを防ぐ役割があります。
通常、1階と2階を仕切るように外壁に取り付けられています。
雨による壁の劣化などを防ぐために取り付けられることが多いです。
軒天の主な役割は、以下の通りです。
機能上の役割が大きく、伝統的な日本の住宅では基本的に軒天が設けられています。軒天の主な役割を解説します。
軒天は、火災が発生した際に延焼防止の役割を果たします。
例えば、火災が発生すると窓から炎が上がり、屋根に燃え移る可能性がありますが、燃えにくい素材の軒天であれば、炎が屋根裏に回ることを防ぎます。
延焼防止の役割を担っているため、基本的に素材は燃えにくい素材です。
軒天があることにより、外壁が雨や日光が遮られ、劣化を防ぎます。
角度にもよりますが、軒があることで雨や日光が直接壁に当たりません。
軒のない住宅「軒ゼロ住宅」はスタイリッシュで人気ですが、軒のある住宅と比較すると、外壁の劣化が早まる可能性があります。
デザイン性だけでなく、軒の役割を把握した上で住宅のスタイルを選びましょう。
軒天は建物の美観性を向上させます。
下地や金属の部品がむき出しになると無骨な印象を与えるため、軒天で隠すことで、デザイン性を向上させられます。
さらに、色を工夫することで個性を出すことも可能です。
軒天は屋根裏の換気にも役立ちます。
屋根裏は湿気が溜まりやすい場所のひとつです。
暖かい空気は家の上部に溜まりやすいため、冷たくなった屋根との温度差によって結露を起こすことがあるからです。
また、換気システムや断熱材、屋根の形状などにより、湿気が逃げにくい場合があります。
穴の開いた材を軒天に設置したり、換気口を設置したりすることで、つねに換気できるよう工夫されています。
軒天に使われる素材は、不燃性で耐久性があるものが主流です。
それぞれ解説します。
軒天には木材が使用されることがあります。特に昔の家では、薄い木の板を何層にも重ね合わせた合板が使用されていることが多いです。
メリットは、軽くて安価なことです。安く抑えたい時や自分で補修したい時には便利でしょう。
デメリットは、耐火性や耐久性が弱いことです。
木材が使用される場合、耐火性が低く、湿気にも弱いため、炎が上がると燃え移りやすくなってしまいます。
ちなみに、伝統的な日本建築では、あえて木材を見せるような建築方法を選ぶ場合があります。
通常は軒天の中に隠れている垂木(たるき)をあえてむき出しにする「化粧垂木」などは、あえて木材を見せるような建築方法の例です。
軒天には金属を加工したものが使用されることがあります。
素材としてガルバリウムやアルミニウム、ステンレス鋼などが使われます。
メリットは、耐火性があり、メンテナンスをしやすいことです。
木材と比較すると耐火性に優れているため、塗装などの頻度も少なく、傷みにくくなっています。
デメリットは、技術力が要求されることや高価な場合があることです。
金属の継ぎ目は、きちんと処理しないと雨漏りや劣化の原因になります。
軒天に金属を使用する場合は、技術力のあるプロへの依頼が必須です。
使用する金属によっては高価になりますので、予算の都合と合わせて検討しましょう。
軒天としてよく使われるのがケイカル板です。ケイ酸カルシウム板の略です。
白い板に小さな穴が開いたものはケイカル板の一種で、「有孔ボード」と呼ばれます。
消石灰や珪藻土を原料としており、人体への有害性はありません。
メリットは、耐火性や耐久性があり、価格も手頃なことです。穴は屋根内部の通気を良くするので、湿気によるカビを防ぐ効果があります。
デメリットは、デザイン性の面で自由度がやや低いことです。
木材や金属に比べると質感や色合いに制限があり、見た目を重視する方にとっては物足りなく感じる可能性があります。
家の新築やリフォームの際に外壁の色や素材にこだわる方は多いです。
一方で、軒天についてはあまりイメージできない方もいらっしゃると思います。
「軒天の色が好みではなかったので、変えたい」「軒天の色選びに失敗してしまった」とならないように、選び方のポイントを解説します。
軒天は、屋根や壁の色を決めた後に同系統の色を選ぶと失敗が少ないです。
明るく爽やかな印象にしたい場合は白やアイボリー、シックな印象にしたい場合は黒などを選びましょう。
付帯部、特に幕板などと色を合わせることで統一感が出て引き締まった印象になります。
外壁や屋根は白などの無難な色にして、軒天やその他の付帯部にビビッドな色を取り入れ、アクセントカラーとして家全体のデザイン性を向上させることも可能です。
軒天の色にこだわりがなく、全体的に統一感があれば何でもOKな場合は、白系を選ぶことをおすすめします。
軒天は屋根の裏側に位置するため、基本的には日陰になることが多いです。
そのため実際の色よりも暗く感じることがあり「思ったよりも暗い印象になった」「もう少し明るいと思っていた」となる場合があるためです。
色選びに迷ったら白系や明るめの色を選ぶことをおすすめします。
軒天の修理方法は主に3つあります。壊れ方によって対処法が異なりますので、プロの判断が必要です。
それぞれ解説します。
耐水性や防カビ性を向上させたい場合や表面の色が剥がれているだけの場合は、塗装を行います。
軒天のみを塗装するというよりは、屋根や外壁の塗装と同時にメンテナンスの意味合いを込めて軒天を塗装するパターンが多いです。
塗装は耐水性・通気性・防カビ・染み止め効果に優れた塗料を使用します。
具体的には、EP(エマルションペイント)、AEP(アクリルエマルションペイント)、NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)といった塗料を使用することが多いです。
素材のもともとの風合いを生かしながら耐久性を上げたい場合は、透明のクリア塗装も検討しましょう。
特に木目などこだわりのある素材を使っている場合は、クリア塗装することでその風合いを長持ちさせられます。
軒天の表面が剥がれている場合は、増張り(ましばり)という方法で補修します。
増張りとは、既存の材の上から新たに板を重ねる方法です。
既存の材を剥がさずに上から板を追加するので、剥がす工程が発生しなく、比較的工数をかけずに補修できます。
軒天が明らかに剥がれている場合や腐食が進んでいる場合、雨漏りする場合は張り替え作業が必要です。
軒天材だけでなく、下地も傷んでいる可能性がありますので、一度剥がしてから新しい材を使うことになります。
もっとも工数や費用がかかる補修方法です。
機能面からデザイン面までさまざまな役割を持っている軒天。
経年とともに塗装が剥げたり、腐食してくるのは自然なことです。
自分で補修できるのではないかと感じられますが、傷み具合や必要な補修方法を判断することは簡単なことではありません。
屋根や外壁に気になる箇所が出てきた際には、軒天も合わせてプロにメンテナンスをお願いしましょう。
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