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2024.1.11
樹木には「広葉樹」「針葉樹」という種類があることは多くの方が知っていることでしょう。
しかし、違いや特徴については詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
実は広葉樹と針葉樹には、細胞レベルからの明確な違いがあります。
今回は、広葉樹と針葉樹の違いについて、特徴や用途を含めて解説します。
建築用だけではなく、焚き火にする場合の使い分けや、広葉樹・針葉樹の代表的な樹種もあわせてご紹介します。
目次
広葉樹と針葉樹の違いで、最も分かりやすいのが外見です。
広葉樹の葉は扁平であることが多く、幹は太くて曲がり、枝分かれしています。一方、針葉樹はとがった細い葉で、幹はまっすぐ伸びていることがほとんどです。
この外見上の違いは、細胞組織の成り立ちの違いによるものです。
一般的に広葉樹の組織構造は複雑で細胞の種類も多岐にわたり、水分の通り道である「道管」と、木を支える「木部繊維」で構成されています。一方の針葉樹は、組織の大半である仮道管が水の通り道であると同時に木を支える構造になっています。
また、広葉樹・針葉樹のどちらとも、細胞の間には無数の空気孔が空いています。
広葉樹は細胞の密度が高く空気の割合が低いため、重く硬い樹種が多い一方で、針葉樹は空気を多く含むため、軽く柔らかいのが特徴です。
ここでは、広葉樹と針葉樹の特徴を解説します。広葉樹と針葉樹は、前述のように細胞組織が違うため、重さや硬さが異なることが多く、それに伴って木材にしたときの強度にも違いが出ます。
広葉樹は一般的に重くて硬いのが主流といわれています。
多くの樹種が針葉樹よりも成長に時間がかかり、細胞が緻密になるためです。
また、針葉樹の樹種が540種程度なのに対し、広葉樹は20万もの樹種があります。
細胞の組織構造が多様であることから、実際には軽くて柔らかい樹種もあるなど、性質もバラエティーに富んでいるのが特徴です。
広葉樹の中でも、木材としたときの強度は樹種によって大きく違います。
粘りと強度が強く、家具の材料などにも使われる「アッシュ」のような樹種もあれば「バルサ」のように軽くて、板状にすればハサミやカッターでも切れる樹種もあります。
まっすぐ育つ針葉樹は、古くから柱や梁といった建築の構造材として多用されていました。針葉樹は縦方向に加工しやすく、軽くて扱いやすいためです。
欧米では家の中でも靴を履いて生活する文化が根づいているため、傷が付きやすく柔らかい針葉樹は床材にはあまり使われません。日本では、家の中では靴を脱ぐ習慣があるため、肌触りの柔らかい針葉樹が、床材として好んで使われる場面も多くなっています。
針葉樹は夏に冷たく冬に温かく感じられるのも、床や内装材として利用する際の魅力となっているのでしょう。
ここでは、広葉樹と針葉樹の用途を解説します。建築材としての使われ方の他、キャンプなどで使われることが多い、焚き火用の薪としての使い方も解説します。
広葉樹は、強度が高く傷も付きにくいという特徴からハードウッドとも呼ばれます。強度や硬さといった特徴を生かして、机やいすなどの家具、床材などに多く使われている素材です。
広葉樹は細胞の密度が高いことから、薪として使う場合は火持ちの良さが特徴です。時間をかけてゆっくりと燃えるため、暖炉や焚き火などで火が落ち着いてきたときに、長く維持するために使うと良いでしょう。
針葉樹はソフトウッドとも呼ばれるように木材として加工しやすいのが特徴です。まっすぐ育つ針葉樹は長尺の木材を取れることから、柱や梁などの構造材として利用されることも多い樹種です。
一方で、柔らかく傷がつきやすいことから、床材などで利用したい場合は、使う場所を選ぶのが良いでしょう。
針葉樹は空気を多く含むため、火付きがよく燃えやすい性質もあります。
焚き火調理で火力を上げたいときや、最初の焚き付けとして使用するのに適しているといえます。
それでは広葉樹と針葉樹の代表的な樹種について紹介しましょう。代表的な次の樹種について、分布や特徴、用途などの面から樹種ごとに解説します。
ブナは、北海道南部から九州辺りまで、日本の広い範囲に分布しています。木材として優秀であることに加え、保水力に優れているのが特徴である一方、水分が多いため乾燥しにくくカビなどが生えやすい点がデメリットです。
弾力性があり曲げに強いことから、家具材や木製玩具などに利用されるほか、曲木家具や整形合板などでも多く使われています。
ナラ(ミズナラ)は日本の広い範囲に分布している樹種であり、代表的な産地は北海道です。広葉樹の素材としては、日本だけでなく欧米諸国でも人気が高く、フランスのルーブル美術館ではヨーロッパ産のミズナラで作られたイスが展示されています。
世界的にも特に人気が高い家具材としての利用のほか、内装材や化粧単板としても利用されています。
ケヤキは、北海道を除く全国に分布していて、各地で良材を産出しています。強靱で狂いが少なく耐久性に優れていることや、力強く美しい杢目があることなどが特徴です。
都内では並木としても知られており、目でも楽しませてくれる樹種です。
美しい木目を生かして建築材や家具材として利用されており、特に寺院の建築には欠かせない樹種であるほか、和箪笥、和机などでも利用されています。
スギは本州から九州、四国の広い範囲に分布している木材です。縦方向に裂けやすいことから、角材から板材まで幅広く利用されています。
柔らかい性質から、加工しやすく木工経験が少なくても加工できるのも特徴で、ホームセンターなどでも販売されていることから、DIYなどにもよく使われます。
乾燥しやすく、腐食に対しても耐久性があるのも特徴です。建築用としては、構造材・建具・天井板などに加工されるほか、樽や桶、工芸品などでも利用されています。
ヒノキは本州の福島県東南部を北端に、南は四国・九州まで分布しています。表面を仕上げると美しい光沢と特有の芳香が出ることが特徴です。
木材としては心材(丸太の中心に近いところから切り出した木材)の耐久性が高く、湿気にも強い特徴を生かして、風呂場や水回りなど、水分が多い場所でも重宝されます。
建材としては特有の香りを生かして内装材として利用されることも多い樹種です。
特に耐久性・見た目・香りの優れた木材として、古くから寺の建築などで重宝されていました。
ヒバは、本州中南部、四国、九州などに分布する樹種です。湿気や腐食に対する耐久性が高いため、建築の土台に使用されています。
周辺にヒノキの良材が見つからなかった地域では、仏閣などの重要な建築にもよく用いられたことが知られています。産地の周辺ではヒバ材を柱として使用している家も少なくありません。
まな板材としては最高級の材として利用されるほか、建築材として、主に構造材・造作材・建具などに利用されています。
広葉樹と針葉樹は細胞組織の構造の違うため、硬さや重さ、性質まで大きな違いが出ます。一般的には、広葉樹は重くて硬いものが多いため、家具材などを中心に利用され、針葉樹は軽くて柔らかく加工しやすいため、構造材から内装材まで利用されています。
とはいえ、樹種によって広葉樹・針葉樹の枠に収まらない特徴を持つものも多く、広葉樹・針葉樹というくくりでは、一律に用途を限定はできません。
木材を利用する際には、樹種ごとの特徴を見極めて、用途に適した材を選ぶのが良いでしょう。
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