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2023.9.21
「木材は3D加工ができる?」「木材を3D加工する方法を知りたい」
このように、メディアで話題の3D加工の進歩により、「木材を使用して立体的な加工作品を作りたい」と考えている方は、多いのではないでしょうか。
本記事では
について解説します。木材3D加工作品の入手方法や木材に施す3D加工技術を知り、木材を使用した記念品や美しい作品作りの参考にしてみてください。
目次
木材の3D加工とは、コンピューターと機械の技術を駆使して精密で複雑な立体的加工を木材に施す技術です。ノコギリや彫刻刀を使用した職人による技術ではなく、NCルーターという機械技術による加工のため、より繊細で精度の高い加工を施すことが可能です。
3D加工は人の手で加工するような、素材の状態を確認しながら力を加減することができないため、自然資源である繊細な木材は樹種によって硬さや性質が異なる木材の状態を見極め加工を施すといった、職人的な感性も必要となる高度な技術です。
「NCルーター」とは木材専用の3D加工を施す機械です。NCルーターは、数値制御機能を用いて、入力された数値通りに機械が動き加工を施します。機械には、木材を固定するテーブルと先端に工具のようなドリルが取り付けられています。先端のドリルが回転し、その回転で木材を削り加工を行います。先端のドリル部分の動作を数値制御することにより、様々な動作をさせることができます。
NCルーターに数値制御の指示を与えるプログラムには、以下の2つの手法があります。
マニュアルプログラミングは、NCルーターの加工を施す機材部分の可動域であるXYZ軸の座標を計算し工程をNCルータの制御盤に直接指示を入力する方法で、自動プログラミングは、CADやCAMシステムと言われるコンピューターの機能を活用し自動で製図や計算を行い、コンピューターを介しNCルーターに伝える方法です。プログラミングやコンピューター知識が必要となります。
このように、手作業でのプログラムの数値入力もしくは、コンピューターによる作業が必要となるため、パソコンやプログラムの知識が必要となります。また、NCルーターと混同しがちなCNCルーターとは、機能面はNCルーター同様に、数値制御で加工を施す技術ですが、数値を入力するプログラムの手法がコンピューターによる自動プログラミングであるといった違いがあります。
参考:表面切削による表面加工技術の開発|北海道立総合研究機構
NCルーターの切削種類には、以下4つがあります。
それぞれ詳しく解説します。
旋削加工とは、素材自体が回転しながら不要な部分を削り、加工を施していく方法です。素材を回転させるという加工方法により、円筒部品の外周や側面の削り出しによく用いられます。削り方にも様々な種類があるため、削り方によって加工後の製品の模様が変化します。人の手作業では難しい、滑らかな曲線美を施せます。
ドリル部分を高速で回転させながら、作業台に固定した素材を削る加工方法です。四角型の製品の加工に適しており、ドリルを回転させながら素材を削っていくため、平面加工はもちろん、側面に凸凹とした溝を掘るといった加工を施せます。また、円筒状のものを加工する旋盤とは異なり、ブロック状の材料から複雑な形状を削り出したり、溝や穴などの加工をしたりするなど、幅広い加工ができます。
中ぐり加工とは、ドリルなどを用いて開けた穴を、さらに大きく広げていく加工のことです。ドリルよりも直径の大きな穴を開ける際に適した加工技術です。外側ではなく、内側の加工技術のため、加工面が見えづらく、工具や加工面の状態を確認しながら調整が難しいです。そのため、図面通りの加工ができているかが作動中確認できず、削りカスや穴詰まりが原因で荒い仕上がりになるのが特徴です。
ネジや穴、リーマ仕上げ加工もNCルーターで加工できます。ボルトを設置する穴や軸受の穴を開けたのち、穴の表面を綺麗にするための仕上げもまとめて行うことが可能です。ドリルなどによってあらかじめ開けられた穴の内径を、リーマと呼ばれる棒状の部材を通すことで、指定された穴のサイズに広げながら、滑らかできれいな穴に仕上げます。
NCルーターは、基本ドリルがついている主軸が左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)、上下方向(Z軸)に動き加工を施す3軸仕様の機材です。5軸はX、Y、Zの3軸に加えて、素材を固定するテーブルが、X軸回りの回転(A軸)と、Z軸回りの回転(C軸)の方向に自由に傾斜させることができます。5軸は3軸よりも細かく制御できるため、複雑な形状の加工も施せます。
参考:5軸加工の上手な活用方法とは?3軸加工機と5軸加工機の違いについて解説|meviy
3D加工には、高い技術力と木材に関する知識が必要であるということがわかりました。木材を3D加工する方法には、以下の3つがあります。
木材の3D加工は、木材加工業者に依頼できます。3D技術の進歩により、木材を職人の手で加工していた企業もCNCルーターやNCルーターの導入を進めています。そのため、企業向けの大量生産はもちろん、個人の方に向けた記念品などの制作も依頼できます。手作業では困難なデザインやイメージを忠実に再現してくれます。
ShopBotとは、木材を加工できるCNCルーターです。コンピューターの知識があれば、コンピューターを介して自動で数値制御を伝えてくれるため、簡単に加工を施すことができます。ShopBotの加工工程は、まず素材から大きく形を出す荒削り加工を行い、そのあとに表面を細かく滑らかにする仕上げ加工を施します。段階を経て加工を施すため、大型のNCルーターにも劣らない繊細で細やかな加工技術があります。ShopBotは3D加工だけではなく、シンプルな切断加工やポケット加工を施すことができるので、大小問わず様々な加工を楽しめます。
参考:ShopBot
実際にNCルーターで制作された木工・木製品を紹介します。
2018年大阪にある株式会社吉村商店は、ヒノキで作られた「イチョウの葉っぱをイメージしたベンチ」を制作しました。複数の加工パーツを組み合わせ職人の手により仕上げが施されたベンチは、ヒノキの滑らかさと細やかな木目から温かみを感じられる作品に仕上がりました。
木工・家具づくりの株式会社アーティストリーは、2021年「わの休憩所」という憩いの場となるベンチを制作。この作品は、社会的な木材利用を評価するウッドデザイン賞を受賞しました。
株式会社アーティストリーは、その後も挑戦と技術革新を続け、北こぶし知床ホテル&リゾートにあるサウナ室内や英国アンティーク博物館 BAM鎌倉の正面ファサードなど大規模な木材3Dアート作品を作り上げました。
参考:NARAプロジェクト・わの休憩所|株式会社アーティストリー
木材の3D加工は高い加工技術により、木材特有の滑らかさや風合いを残す美しい作品に仕上げる技術であることがわかりました。個人での加工は難しいものの、業者や職人に依頼することで、世界に一つだけの記念品や木工製品を手に入れることができます。
森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。
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