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2023.7.7
木の家に住みたいと考えたときに、シロアリ対策について考えたことがある方は多いと思います。しかし、実際にどのような対策をすればよいのかまで考えたことのある方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、
を紹介します。
シロアリ対策を正しく理解して、長く快適に住むライフスタイルを手に入れましょう。
目次
シロアリは、木材を主食とする昆虫で、主に土壌や地下など暗くて湿気があり、あたたかい場所に生息しています。木材の主成分である「セルロース」を分解して栄養とすることができることから、自然界では倒木を分解し土に還す「分解者」としての役割を果たしています。
しかし、その分解能力ゆえ、ひとたび住宅の床下などに住みつくと大切な住まいに直接被害を及ぼし、住宅の強度を低下させてしまいます。
現在、日本では20種類を超えるシロアリが確認されていますが、ここでは特に木造住宅に大きな被害を与える下記4種についてご紹介します。
地下シロアリとは、地中を移動しながら、たどり着いた木材を食害するシロアリです。
湿った木材を食害する特徴があり、日本中に生息するヤマトシロアリは雨漏りや結露などが原因で湿った木材を摂食する一方、関東以西の暖かい地域でみられるイエシロアリは自分で水分を運ぶことができるため、水分量の多くない木材でも自分で濡らして摂食してしまう特性があります。
乾材シロアリは、乾燥している木材を好むのが特徴です。木材に含まれるわずかな水分だけで生きられるため、土中に巣を持たず、乾燥した木材から木材へと巣を作り家全体に被害を広げる恐れがあります。
日本にはアメリカ原産の外来種アメリカカンザイシロアリと、南西諸島に生息するダイコクシロアリの2種類がいます。
参考:シロアリやキクイムシは生態系の益虫!?-木造住宅の害敵たちへの予防・駆除・対策|ホウ酸防腐防蟻・高耐久化住宅処理日本ボレイト株式会社
木造住宅における以下の状態のシロアリ対策を紹介します。
シロアリの被害に遭う前にできる対策はすべて行っておきましょう。
①進入路をふさぐ
かつての木造住宅は「布基礎」が主流でした。この布基礎は、住まいの周囲や土台の部分のみを鉄筋コンクリートで支える工法で、その他の部分は地面が露出していることもあるためシロアリの侵入を容易に許してしまいます。
現在は「べた基礎」が主流になり進入路は限られてきましたが、基礎の立ち上がりや配管貫通部、基礎の打ち継ぎ部や玄関ポーチなどは隙間ができやすいので、シーリング材などで対策をすると効果的でしょう。
②構造材や壁体内に防蟻処理を施す(バリア工法)
建築基準法には、「木造建築の地面から1メートル以内の部分(柱や筋交い、土台など)には必要に応じて防蟻処理を行う」ということが明記されており、新築の際にはこの基準を満たす必要があります。
この処理で一般的なのが対象となる木材に薬剤を散布する「バリア工法」です。リフォーム時にも施工可能ですが、壁の中や土台の奥などその後の施工が難しい箇所もあるため、新築時におけるこの防蟻処理は大変重要です。
③点検しやすいつくりにする
シロアリの被害は床下など見えにくい箇所から始まるため、定期的に点検ができるようにすることが大切です。
具体的には床下や天井に点検口を設けること、基礎の立ち上がりを十分に設け、床下の高さを人が潜って点検しやすいつくりにすることなどが挙げられます。
シロアリは床下や壁の中など普段隠れてしまっている木材に被害を与えるため、リフォーム時はこれらの箇所の調査やシロアリ対策を行うチャンスでもあります。
①土壌処理(布基礎の場合など)
布基礎は土壌が露出していることも多く、そのためシロアリの進入を容易に許してしまうことがあります。とはいえ基礎をやり替えることは大がかりで費用も掛かるため現実的ではないため、シロアリを寄せ付けないように土壌に薬剤を散布する処理を行いましょう。散布する薬剤は、人体に害を及ぼすものもあるため、細心の注意を払って作業をおこないましょう。
②木部処理(バリア工法)
新築時同様、木材に薬剤を散布してシロアリ被害を防ぐ方法です。ネオニコチノイド系などの農薬系の薬剤は効果が5年程度で切れてしまうため、定期的に薬剤散布を繰り返し木材を保護し続ける必要があります。またこの方法では、すでに侵入しているシロアリにも対応することができます。
③ベイト広報
家の周りに「ステーション」と呼ばれる筒状のケースを一定の間隔で埋め込み、その中にベイト剤(毒エサ)を設置しそれを巣へ持ち帰らせることで、巣ごと駆除しようとする方法です。この方法は建物の外に施工するため、建物の形状や床下の構造(床下がない、床下が低くて人が入れない)に関わらず対策することができるのが大きな強みと言えます。
④防湿フィルム
シロアリは湿気のある場所が大好きです。そこで、防湿フィルムを敷き詰めることで床下から上がってくる湿気をブロックし、シロアリが好む環境をつくらない対策方法です。
この章では、それぞれのシロアリ対策の具体的な施工方法についてみていきましょう。また、実際に業者に依頼する際に、気になる見積の見方や、保証についてなど、安心できる業者の見極め方もご紹介します。
処理方法としては下記4つの方法があります。
使用する薬剤は、ネオニコチノイド系や合成ピレスロイド系、フェニルピラゾール系といった農薬系の薬剤と、ホウ素系といった自然鉱物由来の薬剤に分けられます。
農薬系の薬剤は効果が3〜5年で失われてしまうため定期的に繰り返し施工しなければならない一方で、もっとも普及している方法のため費用が比較的安価という特徴があります。
一方で自然鉱物由来のホウ素系薬剤は鉱物由来のため成分が安定し効果が半永久的に続く反面、水に対して溶脱してしまうため雨漏りなどに弱いという特徴があります。
土壌処理の方法としては下記3種類があります。
帯状散布は基礎の内側や束石の周囲、配管の立ち上がり部分等の土壌に対して、側壁から約20cmの幅で薬剤を土壌表面に散布する方法です。
面状散布は土壌の表面に薬剤を均一に散布する方法、加圧注入は専用の注入器を土壌に差し込んで薬剤を加圧注入する方法です。土壌表面ではなく、土壌中に薬剤を行き渡らせることでシロアリの侵入を防止します。
使用する薬剤は、木部処理と同じくネオニコチノイド系、フェニルピラゾール系、カーバメート系、フェニルピロール系といった農薬系の薬剤が用いられています。
ベイト工法とは1995年ごろにアメリカで登場した比較的新しい工法です。使用する薬剤を少なくできること、また薬剤そのものの安全性が高いことが特徴です。
施工方法としては管理型と駆除型があり、管理型はまず住まいの周囲にステーションを設置して、シロアリがヒットした場合にベイト剤(毒エサ)を投入します。
一方、駆除型はすでにシロアリの生息が確認されている付近にベイト剤を設置し、シロアリを誘って毒エサを食べさせ駆除します。
薬剤には「IGR剤」というものが使用され、これは昆虫の脱皮・羽化を阻害する薬剤であるため哺乳類や鳥類、魚類などに対して非常に高い安全性を有します。
防湿フィルムには様々な製品や施工方法がありますが、たとえば布基礎にも対応する「アリダンシート工法」の場合、薬剤があらかじめ練りこまれたシートを床下に敷きこむことで効果を発揮します。
防蟻成分はシラフルオフェン、イミダクロプリドで、温度や湿度の変化による蒸散もなく、溶脱による土壌や水質汚染の心配もないとされています。
「日本しろあり対策協会」というシロアリ駆除の業界団体があります。この団体は、日本の住宅をシロアリから守ることで建物の安全性や耐久性を担保するための活動を行っている国土交通大臣の許可を得て結成された公益社団法人です。
認定資格である「しろあり防除施工士」の検定やシロアリ防除薬剤の認定や登録、防除施工仕様書の策定などを行っており、依頼する業者がこの団体に加盟しているかは大きなポイントです。
注意点としては、依頼する業者と実際に施工する業者が異なる場合です。この場合は、施工する下請けの業者においてもこの日本しろあり対策協会に加盟しているか、また施工者は資格を有しているのかを確認しましょう。
シロアリ対策はある程度まとまった費用が必要になるため、できるだけ抑えようとDIYでの施工を考えた方もいるかもしれません。しかし、DIYでの対策が不十分であると大きなシロアリ被害にあう可能性が高くなり、修復費用でかえって損をする場合もあります。
木造住宅におけるシロアリ対策をプロにまかせたほうが良い下記2つの理由を紹介します。
シロアリについては、地下シロアリと乾材シロアリなど、種類によって生態も異なれば効果的な駆除方法も異なります。それぞれの特徴と有効な駆除方法、対策を自分で理解して施工するのは大変難しいです。
シロアリの繁殖力は非常に高いためDIYで駆除できたと思っていても、一部の巣やシロアリを残していると意味がありません。
住まいの構造は床下や壁の中含めて非常に複雑になっていることも多いため、自分で住宅内のすべての巣を見つけるのは困難です。
参考:シロアリ駆除はDIYできる?自分でシロアリ駆除する場合の注意点 | 不動産の書〜家に関することから土地や空き家の活用法を紹介!
シロアリは、自然界では大変重要な役割を果たしていますが、木造住宅に住みついてしまうと人間に対して大きな被害を及ぼす恐れがあります。適切な対策を施して、シロアリ被害は防ぎましょう。
ただし、対策には専門的な知識や経験も必要になってくるため、専門家に依頼をするのがおすすめです。きちんと効果のある対策を行い、木造住宅で安心して快適に暮らしましょう。
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