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2023.5.8
目次
一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)は23年4月24日、「令和5年度JAS構造材実証支援事業」を公表しました。同事業は林野庁の木材利用促進に向けた川下事業の目玉となるもので、今年度で5年目を迎えます。今年度は2次の公募が予定されており、1次募集は5月8日から6月2日までとなります。ただし、応募多数により期日前に締め切られる可能性が高く、活用をお考えの事業者様は何をおいても早めの申請が肝心です。
詳細は後述しますが、例えばCLTを構造部位に50立方㍍使用した場合、CLT調達費用を立方㍍あたり15万円としたとき750万円を必要としますが、立方㍍あたり14万円が補助されることからCLTの補助額合計は700万円となり、補助額を差し引いた費用は50万円ということになります。
また、杉KD構造材を1棟で50立方㍍使用した場合、杉KD構造材調達費用を立方㍍あたり12万円としたとき600万円を必要としますが、立方㍍あたり6万6000円が補助されることから杉KD構造材の補助額は330万円となり、補助金を差し引いた費用は270万円となります。
対象となるJAS構造材は、機械等級区分KD構造用製材(併用される目視等級KD構造用製材を含む)、2×4工法構造用製材、構造用集成材、構造用LVL、CLT、構造用合板、構造用パネルで、それぞれ補助率が異なります(後述)。これらのJAS構造材を複数使用している場合、いずれも補助対象となり、加算することができます。
株式会社森未来ではJAS構造材実証支援事業の活用をご検討の皆様に対し、申請に関するアドバイス、該当する木質外構材調達等、全般にわたってお手伝いすることが可能です。特にCLTを構造部位に使用した建築物はJAS構造材実証支援事業の補助率が突出して高いことから活用の効果も大きいといえます。私たちも昨年度、JAS構造材実証支援事業を活用して複数の建築物でCLTを納材しました。ご相談をお待ち申し上げます。
同事業の活用を検討される事業者は事前にJAS構造材活用宣言事業に基づいて、「活用宣言」への登録が必要となります。活用宣言への登録は下記のURLに書式がありますので参照してください。
活用宣言の対象者は、木造建築物の施工関係者(施主、設計者、施工者、木材関連事業者)ですが、実際に施工に携わる関係者の登録が良いと思います。「私たちはJAS材を活用し木材の普及に努めていく」といった趣旨の宣言が一般的です。
全体概要↓
概要・募集要領 活用宣言事業 JAS構造材実証支援事業 (jas-kouzouzai.jp)
活用宣言要綱↓
2023jas-sengen-youryou.pdf (jas-kouzouzai.jp)
JAS構造材活用拡大宣言登録申請書↓
PowerPoint プレゼンテーション (jas-kouzouzai.jp)
JAS構造材活用宣言(宣言事業者自社掲示用)↓
01-2021JAsengen-yoshiki1.pdf (jas-kouzouzai.jp)
誓約書↓
2023jas-sengen-youshiki2.pdf (jas-kouzouzai.jp)
合わせて、会社のことが分かる資料(会社概要、履歴事項全部証明書、会社紹介のパンフレットなど)。
上記書式の作成は短時間で完了できると思います。これらの活用宣言に関する書式を一般社団法人全国木材組合連合会へ送付してください。受付期間は令和5年4月3日から令和6年3月22日までです。助成事業への第1回目の申請が5月8日からで、早い者勝ちで受理していくと思われますので、JAS構造材活用宣言も迅速にすませる必要があります。
・建築確認申請書または建築工事届の建築主が国に該当せず、建築物の用途が本事業の規定に沿う建築物。
・3階建て以下の居住専用住宅及び事業併用住宅を除く建築物。
・建築物において基礎より上部の躯体部分の建築工事に本事業以外の国、地方公共団体、公的機関からの補助を受けていない建築物。ただし、国の資金が含まれない地方公共団体の財源による単独事業の助成は併用できます。
・助成対象の床面積(4階建て未満の建築物の非木造部分を除く)が10平方㍍を超える建築物。
・指定する構造部位でJAS構造材を使用した建築物。
・建築主が事業成果の公表に同意した建築物。
・林野庁が作成した「建築物に利用した木材にかかる炭素貯蔵量の表示に関するガイドライ
ン」により施工者が炭素貯蔵量を算出する建築物。
基本的に民間建築物です。3階建て以下の住宅は対象外ですが、4階以上の住宅(マンション等)であれば該当します。
助成金の二重取りはできません。地方公共団体や林野庁以外の省庁の補助金を使うことはできないので、どの助成事業が最も貢献できるかを判断して申請する必要があります。
ガイドラインに基づく炭素貯蔵量の算出は脱炭素社会の実現に向けての木造化の取り組みということで組み込まれています。ガイドラインは下記URLからお入りください。エクセルシートも用意されています。
建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン:林野庁 (maff.go.jp)
① 機械等級区分構造用製材(目視等級構造用製材については下記参照)
② 枠組壁工法構造用製材および枠組壁工法構造用たて継ぎ材(2×4製材)
③ 直交集成板(CLT)
④ 構造用集成材(小・中・大断面構造用集成材)
⑤ 構造用単板積層材(構造用LVL)
⑥ 構造用合板
⑦ 構造用パネル(PB、OSB、MDF等)
目視等級区分構造用製材(乾燥処理)については、機械等級区分構造用製材がJAS構造材と区分された場合のみ、JAS構造材として扱い、目視等級区分構造用製材(乾燥材)を単独でJAS構造材とすることはできません。非構造部に使用したものであっても上記7品目はJAS構造材として扱います。
指定する構造耐力上、主要な部分(構造部)の全部または一部に、上記1つ以上のJAS構造材の品目を使用します。指定する構造部は、機械等級区分構造用製材が構造部の柱、梁桁、トラス、土台。2×4製材、CLT、構造用集成材、構造用LVLが構造部の柱、壁、床、屋根、横架材。
JAS構造材として区分された機械等級区分構造用製材および目視等級区分構造用製材(乾燥処理)、2×4製材、構造用集成材、構造用LVLは、使用材積1立方㍍あたり6万6000円が補助されます。
JAS構造材として区分されたCLTは、使用材積1立方㍍あたり14万円が補助されます。
JAS構造材として区分された構造用合板、構造用パネルは、調達費(木材代金+プレカット加工費+施工現場までの運搬費)の1/2が補助されます。
助成額は上記単価で計算しますが、①事業申請時算出額、②交付申請時算出額、③実際の調達費のうち、一番低い金額が助成対象額となります。一つの建築物で複数のJAS構造材を使用している場合は、それらを合計することができます。
助成対象階の床面積の計が1000平方㍍以上、または助成対象階が4階以上の建築物は3000万円が上限です。助成対象階が3階建て以下の場合は1000平方㍍以下が1500万円、1000平方㍍以上であれば3000万円となります。階数にはJAS構造材不使用階を除きますので、4階建てであってもJAS構造材を使用していない階があれば4階建てとはなりません。床面積についても同様で、JAS構造材不使用面積が除かれます。
同事業の申請受付開始は23年5月8日、締め切りは6月2日。全木連では今回を第一次募集とし、今後、第二次募集を行う予定としています。
事業申請(JAS構造材実証支援事業申請書、様式第1号)の提出先は申請する物件の住所にある地域木材団体です。下記URLを参照してください。
問い合わせおよび申請窓口 実証支援事業 JAS構造材実証支援事業 (jas-kouzouzai.jp)
・様式第1号(JAS構造材実証支援事業申請書、様式第1号、別添、別紙1、別紙2)
・建築工事業または大工工事業の建設業許可証の写し
・建築確認申請書のコピー(受付印があること)
・申請物件の助成対象となるJAS構造材が判別可能な配置図・平面図・立面図・軸組図・梁伏せ図等
・助成金算定表(エクセルデータ)及び見積書(JAS構造材の予定使用数量、予定調達額がわかる資料)
・助成金振込先の銀行口座情報
*申請数が3件以上の事業者は別途提出物があります。
提出された書式を事務局が申請受付(JAS構造材実証支援事業受付書、様式第2号)し、審査を経て結果通知書(JAS構造材実証支援事業採択通知書、様式第3号)が事業者に通知されます。これが届いたら事業開始となります。審査結果通知書の日付以前に発注した木材製品は助成の対象外となりますのでご注意ください。
施工中、施工後にやるべきこととして、荷受け検収写真(検収ごとに撮影)、施工写真の撮影が必須となります。施工写真では助成対象木材の写真を、JAS構造材の種類ごと、部材種ごと(柱、梁、壁、床等)に撮影し、JASマークのあるものはマークがわかるようにアップの写真も撮影する等が指示されています。下記のURLに写真撮影の手引きが掲載されています。
Ž˜®qnK M20220329.xlsx (jas-kouzouzai.jp)
事業者は助成対象の建て方終了後、事業が完了した日から起算して1か月以上経過した日または23年9月29日までのいずれか早い期日に交付申請書(JAS構造材実証支援事業助成金交付申請書、様式第6号)を地方木材団体に提出、交付審査を経て決定通知(JAS構造材実証支援事業助成金交付決定通知書、様式第7号)が出されます。事業者は全国木材組合連合会に請求書(JAS構造材実証支援事業交付金請求書、様式第9号)を提出し、助成金が支払われます。
本記事では、この補助金についてまとめておりますが、それでも補助金制度はなかなかわかりにくい。とっつきにくいという方も多いかと思います。
そういった方は、まずはお問い合わせもご検討ください。
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