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2023.3.31
心地よい空間、落ち着ける空間を作りたいなら、内装に木材を取り入れることが有効な選択肢の一つです。本記事では、感覚的になりがちな木質空間のメリットを、具体的に紹介します。
加えて、内装の木質化を進める際に避けては通れない注意点、目的や場所ごとの樹種選びの目安なども解説します。
自宅、店舗、オフィスなどの内装に木材を使いたい人には必須の内容なので、ぜひ参考にしてください。
目次
戦後造林され現在利用期を迎えた国内人工林の、有効活用が求められています。
健全な森林の維持・林業の活性化・脱炭素社会の実現などの観点からも、豊富な森林資源の活用は欠かせません。
建築材料への木材活用は、国も法律を整備して後押ししています。
2010年制定の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」は、2021年「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に変更されました。
対象が公共施設から建物一般に拡大し、一層の木材活用が推進されています。
建築物への木材利用は「木造化」と「木質化」に大きく分けられます。木造化とは柱や梁などの構造に、木質化とは床や壁などの内装・外装に木材を使うことです。
木質化は、建物構造に関わらず取り入れられる点が特徴です。
つまり、木質化は鉄筋コンクリート造や鉄骨造などが多い都市部の中高層建築にも、木材を取り入れられるのです。
木材を使った内装は、人の心体に良い影響を与えたり、室内環境を衛生的・快適に保ったりする働きがあります。
そのため、店舗やオフィスであれば、経済的な効果も期待できるでしょう。内装に木材を使うと得られるこのようなメリットを、それぞれ具体的に紹介します。
木が人に与える影響の中で大きなものは、香りや触り心地が心身をリラックスさせることです。
経験的に、木のリラックス効果を認識している人も多いのではないでしょうか。
施設の用途によって、内装木質化は下記のような、さまざまなメリットをもたらす可能性があります。
ほかにも、木は紫外線を吸収したり音の反響を抑えたりするため、木質空間では光や音が心地よく感じられます。
木材には、室内環境の衛生や健康に役立つ効果があります。主なものを三つ紹介します。
一つ目は「調湿効果」です。
空気が乾燥していれば水分を放出し、空気が湿っていれば水分を吸収する木の性質は、過ごしやすい室内湿度を保ちます。
二つ目は「ダニの防除」です。
畳やカーペットに比べて木の床はダニが少なくなり、木の匂い成分はダニの行動を抑制します。内装の木質化は、ダニを防除する手段の一つになり得ます。
三つ目は「断熱性と衝撃吸収性」です。
木の床は、細胞内に含まれる空気が断熱性を発揮し、コンクリートやビニールの床に比べて足の冷えが軽減されます。
また、柔軟に変形する細胞のおかげで衝撃吸収能力が高く、転倒時のケガを防止します。
事業者であれば、オフィスや店舗の内装を木質化させることで、経済的な効果を期待できます。木材の有効活用は、地球環境やSDGsに配慮する企業姿勢をアピールすることにもなるからです。
結果、ESG投資を呼び込んだり、社会的評価が高まったりすることもあるでしょう。
事業者による、オフィス・店舗・中高層ビルの内装木質化はまだまだ一般的ではないため、早く取り組むほど、得られるメリットも大きいと考えられます。
他にも、端材を原料にした木質塗り壁材などもあり、サスティナブルな製品が生まれてきています。
気になる方は、下の記事もご覧ください。
内装木質化のデメリットは、価格とメンテナンスの手間です。日本家屋の壁・天井に多く採用されているクロスと比べると、木材を使った内装は高額になります。
予算が限られる場合、壁全面ではなく一部に木材を使うなどの工夫が必要です。
メンテナンスに関しては、特に変色と水分に気を使う必要があります。木材は日差しが当たると変色するので、こまめにカーテンを閉めたり窓やベランダにオーニングを設置したりしましょう。
塗装の種類にもよりますが、かかった水分を放置すると水染みができることもあります。綺麗な状態を保つには、すぐに拭き取る必要があります。
内装に木材を使う場合、知っておくべきいくつかの注意点があります。ねらい通りの内装木質化を実現するためには欠かせないポイントなので、よく確認しておきましょう。
「内装制限」と呼び、建築基準法によって、建物によっては壁と天井への木材使用が制限される場合があります。
火災時、室内での急激な燃焼の拡大を防ぐためです。
内装制限が適用される建物は、不特定多数の人が利用する、一定規模以上であるなど細かい基準があります。人の命に関わることのため、内装制限適用の有無は必ず確認しましょう。
適用される場合でも、高い天井、スプリンクラーの設置など決められた条件を満たせば、木材の使用が認められる場合もあります。
また、不燃木材を使って内装制限をクリアする方法もあります。いずれにしても、基準は複雑なため専門家と相談しながら進めましょう。
不燃木材について詳しく知りたい方は、下の記事もご覧ください。
内装木質化といっても、とにかくたくさん木を使えばいいわけではありません。使い過ぎると、くどい・押し付けがましい印象になることもあります。
大切なのは、木質化の目的を明確にして、最大限の効果が得られるようにすることです。柱や梁で力強く見せる、壁面に使ってあたたかみを出すなど、目的によって木の使い方は変わってきます。
施設の用途や利用する人の属性などを考慮して、適材適所で木材を使うことが求められます。
木材は、他の建材に比べて維持・管理に手間がかかる素材です。割れや狂いが生じたり、紫外線で変色したり、水に弱かったりするためです。
リスクとうまく付き合うためには、メンテナンス性も考慮して設計・施工する必要があります。まず、使用する木材は十分乾燥させたものを使いましょう。割れや狂いを抑えられます。
表面劣化は、保護塗装での対策が有効です。
汚れや変色の防止に加えて、狂いの抑制にも役立ちます。こまめに水分を拭き取れない場合、水回りに木材を使うのは控えたほうが無難です。
なお、使用に伴って問題が起きた際、部分的な交換が容易にできるよう、パネル式を採用するのも工夫の一つです。
使用する場所によって、樹種の向き不向きがあるため、床、壁、天井に関して、樹種選定のポイントを紹介します。
常に人の足が接触する床材には、耐久性や防汚性が求められます。さらに、素足利用か下足利用かで適した樹種も異なります。
素足利用は、当たりが柔らかいスギ・ヒノキなどの針葉樹が、下足利用は耐衝撃性に優れたナラ・タモなど硬い広葉樹がおすすめです。
手で直接触れることもある壁材は、肌触りも大切です。
ささくれができにくいという観点では、未成熟材より強度の高い成熟材、板目より柾目の方が適しています。触れることがほぼない天井材は、デザイン性を中心に樹種を選べますが、場合によっては防火性の考慮が必要です。
樹種によって与えるイメージは異なるので、インテリアとの相性を考慮して選ぶ必要があります。
いくつかの樹種の一般的なイメージや特徴を挙げておきます。
使う場所や使う量によっても印象は左右されるのでこの限りではありませんが、一般的なイメージを知っておくと樹種選びがスムーズに進みます。
内装木質化を実現した施設を、2例紹介します。
一つ目は、奈良の宿泊施設「セトレならまち」です。
内装・外装の木質化とオリジナル家具に県産材である吉野杉を使い、地域林業への貢献を果たしています。
二つ目は、東京都江東区の「有明子ども家庭支援センター」です。
子どもたちの「木育」を視野に入れた施設で、ふんだんに木に触れられる設計になっています。木と接する機会が少ない都市部では、貴重な子育てスペースといえるでしょう。
地球環境保全や林業の活性化、健全な森林の維持管理などを理由に、国産材を使った内装木質化は大きな流れとして推進されており、今後もますます注目されるでしょう。
木材を使った空間は、人の心身や健康にいい影響を与えることが分かっています。
さらに、事業所や店舗であれば、経済的な効果も期待できます。メリットの多い内装の木質化は、守るべき法律や目的に合った樹種の選定など、大事なポイントを押さえて進めましょう。
森未来ではさまざまな木材を取り扱っております。気になる方は、ぜひお問い合わせください。
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