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2022.12.27
「不燃木材はどのような仕組みで燃えないの?」
「不燃木材にはどのような種類があるの?」
上記のような悩みをお持ちではないでしょうか?
不燃木材とは、薬剤によって燃えにくい機能を木材に付与した材料で、木材利用の幅を大いに広げた加工技術になります。
そこで本記事では
について解説します。
目次
不燃木材は大きく分けて以下の3種類があります。
種類によって不燃にする方法が異なるため、1つずつ詳しく解説します。
含浸系は不燃性の薬液を木質内部まで浸透させた不燃木材です。しかし、含浸系は薬剤の原料が液体か固体かで分けられ、それぞれにデメリットもあります。
白華現象は後述しますが、液垂れ現象と同様に見た目に悪影響を及ぼす現象です。
基材系は、表面が木材で基材に不燃材料を使用した素材です。基材には、火山性ガラス質や鉱物質繊維、軽量ガラス質材料などを原料に作られた、燃えにくい素材が使用されています。軽量で耐久性があることに加え、加工性にも優れているため汎用性の高い素材です。
しかし、表面の木材は薄いため、傷がついてしまった場合は中の素材まで貫通してしまうこともある点に留意しましょう。
塗装系は、木材に不燃効果のある塗料を塗布し不燃効果を付与したものです。現状日本では、通常の火災を「遮る」性能として、準不燃、難燃の認定(基材は松系)しかありません。しかし、塗料ということもありコストや納期の柔軟性という観点では非常に優れた不燃加工と言えるでしょう。
含浸系の薬剤には「ホウ酸ナトリウム」という成分が含まれています。ホウ酸ナトリウムは木材を燃えにくく加工するために重要な成分で、以下のような反応で燃焼を防ぎます。
デンプンを加えたホウ酸ナトリウム塗料でも、以下のような反応が発生します。
このようにホウ酸ナトリウムは不燃木材にとって重要な成分になります。
参考:不燃木材が公共建築物や店舗の天井、壁、床などに数多く採用。塗るだけでプラスチックの不燃化も可能に。応用化学科 露本伊佐男教授の特許技術の社会実装が進む|金沢工業大学
不燃といっても全く燃えないものだけが、認められているわけではありません。建築基準法上で不燃性能を有する材料が不燃材料とされています。不燃性能は、通常の火災時に20分間の条件下で以下を満たすものと定義されています。
したがって、不燃材料であっても経過時間によって燃える可能性があることは認識しておきましょう。
不燃材料の他に燃えにくい材料として「準不燃材料」と「難燃材料」があります。不燃性能で満たさなければならない条件は同じですが、燃え始める時間が異なります。燃焼開始時間と材料の具体例は以下のとおりです。
燃焼時間 | 材料の例 | |
---|---|---|
不燃材料 | 20分 | コンクリート、れんが、瓦など |
準不燃材料 | 10分 | せっこうボード(厚さ9mm以上)、パルプセメント板(厚さ6mm以上)など |
難燃材料 | 5分 | 難燃合板(厚さ5.5mm以上)、石膏ボード(厚さ7mm以上)など |
同じような言葉でも基準が定められており、明確な違いがあります。知識として知っておき、場所に応じて適した材料を使用しましょう。
白華現象は、含浸させた薬剤が染み出して、木材の表面が白くなる現象です。防火木材に用いられる薬剤は、吸湿性の高い化学物質が一般的に使用されます。施工中や施工後に梅雨時期のような湿度が高い場所に不燃木材が置かれていると、内部の薬剤が空気中の水分を吸収して、表面に溶け出してしまいます。
溶け出した薬剤が、表面で乾燥し白く結晶化することで白華現象が発生します。白華現象は、美観に注意して木材を使用している場合は問題となるでしょう。しかし、最近では、白華現象が起こりにくい商品も販売されています。
不燃木材の登場により、これまで法規上本物の木材が使えなかった箇所にも使用できるようになり、木材利用の幅が一気に広がりました。一方で、説明したとおり全く燃えない材料ではなく、建築基準法に準拠した材料であることも理解しておきましょう。
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