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2022.12.27
木製バットに使用される木材について皆さんはご存知でしょうか。時速100km/hを超える硬球を打ち返すバットは、なんといってもその硬さが重要となってきます。
そこで、今回は木製バットに使用される木材について解説します。
目次
プロ野球や大学野球で使われる木製バットですが、使われる木材で代表的なものは次の4つです。
素材によって異なるしなりや堅さなどの特徴は、ボールの飛び方や打ち方にも影響を与えます。
アオダモは、堅さ・丈夫さ・粘性・弾力性の全てに優れている「バット材の王様」です。なかでも、北海道太平洋側の厳しい寒さの中で育った材は、良質とされていました。しかし、無計画な伐採などが原因で、現在の流通量は激減しています。
そのため北海道産アオダモのバットは希少価値も価格も高く、使えるのは一流選手に限られるでしょう。よくしなるため、ボールとバットが接する時間が長く「運ぶような打感」が味わえるとされています。
バーチは、比較的最近バットに使われ始めた材です。アオダモに比べるとしなりが少なくやや堅いため、ボールを「運ぶ」よりも「はじき返す」打感になるとされます。大谷翔平選手が、アオダモからバーチ素材のバットに切り替えたことでも注目されました。
まだ製造しているメーカーが少ないですが、反りなどの狂いが少ない堅さ、十分な粘りや強度はバット材として優れており、これから普及していくことが予想されます。
メイプルはバット材として広く使われており、野球の本場、アメリカでも人気です。カナダ産が有名ですが、近年はロシア産も出回っています。バーチよりも更に硬く、しなりが少ないため、硬い打感を特徴とします。
硬さを活かして、ボールを弾いて飛ばしたい選手に向いているでしょう。軽くて折れにくい材質で、耐久性にも優れています。弱点は、芯を外すと強い振動が響いて手がシビれるということでしょうか。
ホワイトアッシュは、タモの仲間で、北米に広く生息している木で、硬く折れやすい特徴があります。アオダモと比べるとしなりに欠けますが、反発力があるので強く速いボールを打つのに向いています。
また、多くのメジャーリーガーがホワイトアッシュのバットを使うのは、気候に理由があると言われています。これは、アメリカの乾燥した気候では、粘性のあるアオダモよりも、乾燥したホワイトアッシュの方が威力を発揮しやすいと考えられているためです。
木製バットには、年輪の模様が曲線や山状に見える「板目」面と、まっすぐで平行に見える「柾目」面が現れます。2つの面のうち、ボールは強度が高い方で打つべきだとされますが、どちらの面が強いかは、使われる木材やメーカーによって異なります。
メイプルのバットは、板目の方が強度が高いとするメーカーがある一方で、板目も柾目も強度は一緒だとするメーカーもあります。メイプルとバーチは、木材内の水分を通す組織である道管が、細くまんべんなく散らばっている「散孔材」です。
その木目ははっきりとせず、規則性もありません。そのため、場所による材質の違いがなく、板目・柾目で強度が同じという説もあります。同じ材でも産地や種類によって性質が違うので、各社の見解が分かれるのは不思議ではありません。基本的には、メーカーが推奨した使い方に従いましょう。
アオダモとホワイトアッシュを使ったバットは、柾目の方が強いとされています。両材は、「散孔材」であるメイプルやバーチと違い、太い導管が年輪に沿って並ぶ「環孔材」です。環孔材の木目ははっきりと強く現れ、柾目面でボールを打たないと折れやすい特徴があるのです。
一般的に、木製バットは強度が低い面にメーカーロゴを入れるので、ロゴとその裏で打たないようにすれば、間違いないでしょう。
野球界ではプロ・アマチュアを合わせて、輸入材も含めると年間20万本以上のバットが使われています。そのうち、折れたり破損したりして役目を終える年間数万本のバットは、以前は焼却処分されていました。
アオダモの計画的伐採と育成活動を行っているNPO法人「アオダモ資源育成の会」は、それらのバットを一括収集し、福井県の木製加工のメーカー「兵左衛門」にて、バット以外の木工製品に加工・販売しています。
回収された折れた木製バットは、「兵左衛門」の職人の手によって、箸に生まれ変わります。商品名は「かっとばし!!」。堅さとしなやかさを併せ持つ木製バットの材質は、箸にも最適なのです。プロ野球各球団のロゴやペットマークを入れたものから、女性向けのデザイン、子供サイズ、サッカーバージョンまで、幅広く展開しています。
折れたバットを再生させていることから、ゲン担ぎとして野球ファン以外からも人気があります。
折れた木製バットは、箸のほかに、ボールペンにも再生されます。プロ野球球団のロゴ入り以外に、名入れにも対応しているので、記念品やギフト、オリジナル商品の制作にも最適です。「兵左衛門」が折れたバットをリユースした商品の売り上げの一部は、NPO法人「アオダモ資源育成の会」を通じて、アオダモの育成に使われます。
バットの材料になるまでに70年以上かかり、現在資源量が不足しているアオダモを、再び未来のバットにするための地道な活動です。
木製バットの材料には、希少なアオダモ、主流のホワイトアッシュとメープル、新顔のバーチがあります。それぞれ異なる材質は、バットの性格を特徴づけ、ボールの飛び方や打ち方にも影響を与えます。
天然素材のため、同じ材で作っていたとしても、メーカーによって推奨する使用方法が異なることすらあります。裏を返せば、なりたいバッター像から逆算して、バットを選ぶ必要があるでしょう。同時に、バット材は無尽蔵な資源ではありません。その計画的な伐採・育成も、軽視できない課題です。
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