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2025.2.21
屋根を構成する部材の一つである「垂木(たるき)」を知っていますか?
普段目にする屋根の表面からは隠れた部分にあり、あまり意識されることはありませんが、傾斜のある屋根には必ず設置されています。
垂木は、屋根の斜面を支える土台として重要な役割を果たしており、建物全体の安定性の確保にも貢献しています。
本記事では、垂木が取り付けられる場所やその役割といった基礎知識を解説します。
さらに、屋根材に応じた一般的な寸法や使用される木材の種類、垂木の劣化原因についても詳しく紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
「垂木(たるき)」とは、屋根を支える骨組みである「小屋組(こやぐみ)」を構成する部材の一つで、屋根の斜面に対して縦方向に取り付けられます。
名前は「下に向かって垂れる」という意味に由来するとされています。
垂木は、屋根の主要構造である「野地板(のじいた)」「防水紙」「屋根材」を支える土台となり、屋根の斜面を形成するうえで欠かせない重要な部材です。
垂木を取り付ける場所は、屋根材、防水紙、野地板の下で、地面に対して水平方向に設置される「母屋(もや)」の上に配置されます。
屋根の頂部である「棟木」から軒先まで、1本の木材を母屋に対して斜めに取り付けることが特徴です。
垂木は基本的に、ひねり金物や特殊な形状の金具を用い、釘やビスによってしっかりと固定します。
垂木は通常、455mm間隔で横向きに並べて設置されます。この455mmの間隔は、在来工法や木造軸組工法で採用される一般的な寸法です。
一定間隔で垂木を配置することで、その上に重ねる野地板を安定して固定することができます。
ここからは、垂木の働きをご紹介します。垂木には、主に次の2つの大きな役割があります。
垂木は、屋根を構成する屋根材、防水紙、野地板を支える重要な役割を担っています。
屋根の傾斜や荷重を支える土台となるため、大きな負担がかかる部材であり、頑丈な構造が求められます。
もし垂木が損傷すると、屋根の平らな斜面を維持することが難しくなり、変形によって斜面が盛り上がったり、凹んだりする可能性があります。
垂木は、屋根を支える役割に加え、建物全体の安定性を確保する構造材としての重要な役割も果たします。
建物を支えるのは柱だけではなく、屋根の強度も建物全体の安定性に大きく影響します。
母屋と垂木を井桁(井の字型)に組むことで、建物全体の強度を高め、構造自体をしっかりと支えることが可能です。
垂木の縦幅や横幅は、使用する屋根材や軒の長さによって異なります。
軽い屋根材や軒の出が短い場合には細い垂木を、重い屋根材には太い垂木を使用することが一般的です。
ここでは、次の代表的な4種類の屋根材に合わせた垂木の一般的な寸法についてご紹介します。
スレート屋根とは、セメントを主な材料とした屋根材で、薄い板状のフラットな形状をしています。
戸建て住宅などで広く採用されており、現在最も普及している屋根材の一つです。
他の屋根材と比べて軽量であることが特徴です。
スレート屋根に使用される垂木の一般的な寸法は「6×4.5cm」。
屋根の軒先から突き出した部分である「軒の出」が長い場合には、「7.5×4.5cm」や「9×4.5cm」の垂木が使用されることもあります。
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛の合金でメッキされた金属素材です。スレート屋根と同様に軽量で、薄い厚みが特徴の屋根材です。
ガルバリウム鋼板の屋根で使用される垂木の一般的な寸法は「7.5×4.5cm」。
ただし、ガルバリウム鋼板にはさまざまな種類があり、加工方法によって重量も異なるため、垂木の寸法を検討する際には、実際の鋼板の重さを確認することが重要です。
瓦屋根は、瓦を使用した日本の伝統的な屋根の一つです。
瓦屋根で使用される垂木の一般的な寸法は「7.5×6cm」とされています。
瓦は一枚一枚が重く、使用枚数が増えることで屋根全体の重量も増加するため、他の屋根材と比べて太めの垂木が使われることが多いです。
テラス屋根とは、マンションや戸建て住宅の1階部分にあるテラスに取り付けられる屋根のことです。
屋根と柱で構成され、外壁に固定して設置するのが一般的です。
テラス屋根に使用される垂木の一般的な寸法は「4.5×4.5cm」です。
軽量な材質のものが多く、屋根全体の面積も戸建てなどに比べて小さい場合が多いため、比較的細い垂木が採用されやすい傾向があります。
垂木には、強度があり、加工しやすいという特徴を持つ、針葉樹が用いられることが多いです。
ここでは、垂木に用いられる木材の中でも、代表的な次の2種類をご紹介します。
垂木によく使用される木材の一つに、日本を代表する樹種である「スギ」があります。
2023年の木材統計によると、樹種別の国産材素材の供給量において、スギは全体の約6割弱を占め、住宅や建築物に幅広く利用されています。
加工がしやすく、保湿性が高いことから、冬は暖かく、夏は涼しい快適な環境を作る木材としても評価されています。
「パイン」も垂木によく使用される木材の一つで、日本語では「松(マツ)」を指します。
垂木には、北米産の「米マツ」などがよく使われており、スギと同様に加工のしやすさが特徴です。また、他の木材と比較して安価に手に入ることが多い点も魅力です。
垂木が痛む要因は、屋根が劣化することによって発生します。垂木の劣化要因には、主に以下の2つがあります。
ここでは、それぞれの劣化要因について、詳しく解説していきます。
屋根が劣化して雨漏りが発生すると、屋根の土台である垂木にまで水が染み込み、腐食してしまうことがあります。
垂木が腐食すると、木材が曲がったり割れたりする原因となり、屋根材を支える力が弱まるためです。
結果、屋根自体が歪んでしまったり、最悪の場合は落下などの事故につながったりする可能性があります。
早めに修理を行うことが非常に重要です。
大雪が降ると、屋根に雪が積もり、雪の重さによって垂木が歪んだり、折れてしまう可能性があります。
雪の重さや密度は質によって異なり、1㎡あたり、新雪の場合は約50〜150kg、湿った雪では最大で500kgにもなることがあります。
つまり、一坪(約3.3㎡)の屋根に高さ1mの雪が積もった場合、最大で約1,650kgの荷重がかかる計算です。
特に豪雪地帯では、雪による屋根や垂木への負荷が大きいため、損傷への注意が必要です。
垂木は屋根を支える土台となる重要な部材です。
雨漏りや雪の重みによる劣化を防ぐために、定期的な点検や必要に応じたメンテナンス、修理を行うことを心がけましょう。
また、垂木を取り付ける場所や設置間隔には、基本的な基準があります。
屋根材に応じて使用する垂木の寸法も異なるため、垂木の機能を十分に発揮させるには、適切なサイズを選ぶことが重要です。
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