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2025.1.20
建築や家具づくりなどで使われる角材や板材といった木材は、森林から伐採した丸太から作られます。木取りは、一本の丸太を製材する時に、木材を用途に応じてどのように切り出すかを計画する工程で、無駄を最小限にするために非常に重要です。
本記事では、木取りの目的や、木取りを行う際に知っておくべき木材の基本用語について解説します。
目次
「木取り」とは、丸太からなるべく無駄を出さずに、用途に応じて製材することを指します。
丸太の一本一本の形状や木目のほか、節、割れなどの欠点の有無を考慮しながら、切る方向や位置、手順を決めて、適材を考えながら製材していきます。
木材の用途に応じた適切な木取りを行うことで、品質を維持しつつ効率的に製材することが可能です。
木取りの的確な判断には、長年の熟練した技術や経験が求められます。
木取り図は、木材を効率的に切り出すための設計図です。木取りを行う際には、木取り図を作成することが一般的であり、木材を無駄なく活用するために重要な役割を果たします。
木工DIYで木材を切り出す場合も、あらかじめ木取り図を作成することで、材料費の削減や作業効率の向上につながります。
DIY初心者向けには、簡単に木取り図を作成できるアプリやツールもあるため、活用してみるのも良いでしょう。
木取りにおいては、木材の特性などを表す用語があります。基本的な用語を押さえて理解することで、木取りの質や効率を向上させることが可能です。
ここでは、次の基本用語を解説します。
「芯」とは、木材の中心にあたる部分のことです。
木材の中心部を含む形でカットされたものを「芯持ち」といい、対照的に「芯去り」とは、木材の中心部を避けて切り出されたものを指します。
芯持ち材は、高い強度と安定性があることが特徴です。腐りにくく、丈夫で燃えにくい特性があるため、柱や土台などの構造材として使われることが多いです。
しかしその一方で乾燥に伴って割れが生じやすいというデメリットがあります。乾燥時の割れを防ぐために、木材の中心部に鋸目(のこめ)を入れる、「背割り」を行うことも多いです。
芯去り材は、乾燥しても割れにくい性質があり、収縮や反りが少ないため、加工しやすいことが特徴です。
色が均一で、見た目も美しいことから、家具や内装材などに使用されることが多くあります。
一般的に、芯持ち材より芯去り材の方が高価な場合が多いでしょう。
丸太を輪切りにした時の切り口を見てみると、芯に近い部分が赤っぽく、その周辺にかけた外側は白っぽくなっていることがわかります。
このような色の違いから、木材の中心にあたる部分を「赤身」、木材の外側のことを「白太」といいます。
学術的には、赤身は「芯材」、白太は「辺材」ということもあります。
赤身と白太の主な違いは色合いのほか、木目や硬度などが挙げられます。
赤身は濃い茶色や赤みを帯びた色合いで、年輪の複雑な木目が特徴です。硬度が高く、耐久性が優れているため、家具などによく使用されます。
白太は淡いクリーム色の明るい色味で、均一な木目が特徴です。水分を多く含むため、腐りやすくといった短所がありますが、比較的柔らかく、加工しやすい性質があります。
「源平(げんぺい)」とは、赤身と白太が混ざった木材のことです。赤白材とも呼ばれます。
どのような丸太からも切り出すことができるため、赤身や白太に比べて、最も木取りが簡単な木材と言えます。
比較的リーズナブルな木材で、フローリングなどに使用されることが多いです。
源平という名前は赤身と白太の2色の並びが、源氏が白旗を、平氏が赤旗を掲げて戦った源平合戦を想起させることに由来しているといわれています。
「木口(こぐち)」とは、木材の繊維の方向に対して直角に切った部分で、年輪が見える断面のことです。
カットしたばかりの木口はザラザラとしているため、切断面を隠してきれいに仕上げる「木口材」と呼ばれる建材があります。
乾燥などによって木口が割れることを「木口割れ」といいます。
また、木口とは対照的に、木材の繊維方向に対して平行に切断した側面のことを「木端」といいます。
「木目」とは、丸太を切り出す時に表面に現れる、年輪や繊維などの模様のことです。丸太の切り出し方によって、木目の種類が異なります。
木目には、大きく分けると次の3種類があります。
「柾目(まさめ)」とは、丸太の中心部分を通して縦に切った際に現れる、直線的な木目のことを指します。水平に流れていくような美しい木目が特徴で、高級家具やドアなどに使用されることが多いです。反りや収縮が少ないため変形しにくく、割れにくいといった特徴があります。
板目と比較すると、一本の丸太から切り出せる数が少ないため、希少性があり、コストが高くなりがちです。一般的に価格が高く、高級材として取り扱われます。
「板目(いため)」は曲線が混じった模様が特徴で、丸太の端から端までを平行に切り出した時に現れる木目のことを指します。木材ならではのナチュラルな風合いや、ぬくもりを感じることができる素材です。
板目は、柾目と比べると強度が高く、水分を通しにくい性質があります。
丸太の端から端まで切り出すことから、無駄のない木取りが可能で、コスト面で優れています。木材の最大のサイズとしては、丸太の直径サイズまで切り出すことができるため、より大きな製材が可能です。
「追い柾(おいまさ)」とは、これまで紹介した柾目と板目のちょうど中間にあたる木目模様のことを指します。丸太の中心部から少し外れた位置で切り出した場合に現れる木目です。
追い柾は「流れ柾」や「半柾」と呼ばれることもあります。
柾目のすっきりとした印象と、板目の木材ならではの柔らかさを兼ね備えており、テーブルの天板やキャビネット、フローリングなどに使われることが多いです。
丸太から角材を製材する際に行う木取りとして、主に次の2種類があります。
「四方柾(しほうまさ)」とは、横断面以外の四面すべてが柾目である角材のことです。四面ともに柾目が通っていることから、この名前がついたとされています。
木口の対角線が丸太の中心に対して、ほぼ直角となるように木取りされています。木の外側で木取りするほど、木目が細かく美しい四方柾を取ることができます。
非常に希少価値が高く、その木目の美しさから最高級品として扱われます。木造建築の和室などの床柱として使用されることが多いです。
「二方柾(にほうまさ)」は、丸太の中心部の近くで、年輪とほぼ並行となるように木取りをすることで得られる角材のことです。
角材の向かい合う二つの面が柾目で、残りの二面が板目となっている特徴があります。
丸太を余すところなく最大限に活用するためには、製材前の木取りが重要な役割を持っています。
木取りの方法は、原木の種類によっても異なり、それぞれの丸太が持つ性質や条件によっても絶えず変化します。
木材の特性や加工方法を表す基本的な用語を押さえることで、木取りの効率やクオリティを高めることにもつながっていくでしょう。切り出した木材は、それぞれの性質を理解し、用途などに応じて適切に使い分けることが大切です。
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