鮮やかな色彩が魅力!パープルハート材についてご紹介

eTREE編集室

「木材を使用した製品」と言われた時に、茶色系の色合いを想像する方は多いでしょう。しかし、木材の中には塗装をしたかのように色鮮やかに発色する樹種もあります。本記事では、そんな独特な色合いを持つ「パープルハート」について解説します。

パープルハートは名前にも入っている通り、鮮やかな紫色が特徴の樹種です。独特な色合いになる理由を始め木材としての特徴まで、パープルハート材について詳しく解説します。ぜひ木材選びの参考にしてください。

パープルハートとは鮮やかな紫色の木材

パープルハートは中南米からブラジル南部の熱帯地方に分布する広葉樹で、マメ科ペルトガイン属20数種類の総称です。多くの場合、高さ40m以上、直径は0.6〜1.2mほどの大きさに成長します。木材としては鮮やかな紫色が特徴で、別名「バイオレットウッド」とも呼ばれます。日本に流通し始めてから年月が浅く、国内での流通量は多くないため、見かける機会は少ないかもしれません。インパクトのある色合いで使う場所を選ぶため、現在、国内の需要はあまり多くありません。しかし、一点ものの家具やインテリアのアクセントとして選ぶのに適しており、今後、需要が拡大する可能性もあるでしょう。

【補足】パープルハートが紫色の理由

パープルハート材が紫色になるのは、木に含まれるフラボノイド類の「ペルトギノイド」とキノン類の「キノンメチド」という色素成分によるものです。芯材にふくまれる酸化酵素と色素成分が、製材して空気に触れることで一気に紫色に変化します。また、ベルギノイドとキノンメチドは、紫外線の影響をうけると徐々に濃い赤紫色に変化します。経年変化によってさらに色合いは変化し、時間と共に落ち着いた紫茶色に変わるのも特徴です。

パープルハート材の特徴

パープルハート材には次のような特徴があります。

  • 材面が鮮やかな紫色
  • 重くて硬く強度に優れている
  • 高い耐久性と耐朽性を持つ

それぞれ詳しく解説します。

材面が鮮やかな紫色

パープルハート材は、芯材の部分が鮮やかな紫色であることが大きな特徴です。鮮やかな紫色は、時間の経過と共に深い紫褐色へと変化します。ただ、芯材が鮮やかな紫色である一方で、外側の辺材は黄みがかった白い色であることもパープルハート材の特徴です。心材と辺材の色に差があるのは、熱帯地方で生育する樹木によく見られる特徴です。パープルハート材は、この心材と辺材の色の差を生かして、一枚板として仕上げることもあります。

重くて硬く強度に優れている

パープルハートは、非常に硬い木としても知られています。土足歩行にも耐える硬さがあるとして、欧米ではトラックの荷台の床部分に用いられることもあります。硬い木である一方、細かい加工が容易であることから雑貨などにも使用される木材です。とはいえ、木材の硬さや強度、重さを表す気乾比重が0.86と大きい木材です。柔らかく加工しやすい特徴を持つ針葉樹の代表的なものが0.4〜0.5程度のため、パープルハート材は重くて硬く、強度が高い木材と言えます。加工するには強い金属刃が必要になるため、DIY用木材としては向いていません。

高い耐久性と耐朽性を持つ

乾燥中や乾燥後の劣化や狂いがほとんどないのもパープルハートの特徴です。反りや割れが発生しにくいため、一枚板のように無垢材として使用する場合にも適していると言えるでしょう。またパープルハート材は非常に硬く虫が噛み切りにくいことに加え、心材の中に菌類やシロアリなどが嫌う成分を多量に含んでいます。そのため、虫による食害や腐朽菌の影響を受けにくく、優れた耐腐朽性を発揮しています。

参考:エクステリアとしての木材利用|長野県

多くの樹脂を分泌する

パープルハートは木の中にヤニ(樹脂)を多く含んでいます。そのため、製材中には木の表面にヤニがにじみ出てきます。ヤニが刃に付着し、製材に使用する金属刃の先が鈍くなることもあるほどです。ヤニは製材後にも分泌するため、無塗装のまま保管するとヤニが出てベタベタになることもあります。ヤニが出てしまった場合は、シンナーを含ませた布で拭き取れば除去可能です。

パープルハート材の用途

パープルハートは色合いや硬さの特徴を活かして、幅広い用途で使用されます。ここからは、パープルハート材のさまざまな用途について紹介します。

  • 建材
  • 家具
  • 雑貨
  • 楽器
  • 園芸やエクステリアなど

【建材】フローリング材やデッキ材など

パープルハート材は強度や耐久性が高いことから、建材として用いられます。国内では、フローリング材やデッキ材として使用されることが多いでしょう。フローリング材として床に使用すると、時間の経過と共に深みのある落ち着いた色へと変化するため、インテリアと馴染んできます。その他、強度の高さから重構造用材として使われることもあります。

【家具】テーブルの天板や造作台など

パープルハートは、心材と辺材の色の差を利用して一枚板として製材し、テーブルの天板や洗面造作台などにも使用されます。他にはない色合いが独特でインテリアの中でも存在感のあるものとなるでしょう。一枚板をインテリアのアクセントとして、壁の装飾や棚板などに使用する事例もあります。

【雑貨】寄木細工や万年筆など

パープルハート材は、硬いにもかかわらず比較的細かい加工をしやすいため、万年筆やペンのような小さな雑貨にも使われることがあります。カードケースや印鑑ケース、キーホルダー、お箸など、雑貨用の木材として幅広く使用されています。その他、木そのものが持つ色合いを生かした寄木細工や工芸品、彫刻などでも使われる木材です。

【楽器】ギターのネック・指板など

パープルハート材は、ギターのネック材や指板用としても重宝される木材です。ギターは弦を張ることで、細い弦を張った場合でも約40kg、太い弦になると約80kgもの高い負荷(テンション)がかかります。弦のテンションによってギターが反ると音程だけでなく、演奏性に大きく影響します。そのため、強度が高く乾燥しても割れや反りの少ないパープルハート材は、ギターのネックに適した木材と言えるでしょう。また、パープルハート材の硬さによって、ギターの音を効果的に響かせる音響上の効果もあります。

参考:パープルハート~Purple Heart~|島村楽器株式会社

【園芸やエクステリアにも】枕木から釣り竿まで

パープルハートは、園芸・エクステリア用の枕木として利用されることも多い木材です。ウッドデッキなどに使われるのと同様、耐水性・耐腐朽性の高さからエクステリア用材として適しているためです。また、独特の色合いが庭のアクセントになるため、他の木材とは違う唯一無二の庭を造れるというのも、パープルハート材が選ばれる理由と言えるでしょう。パープルハートの枕木の主な用途は、門柱やアプローチ、花壇の土留めなどがあります。パープルハートはその他にも、釣り竿など耐水性や強度の高さを生かした製品にも用いられています。

パープルハートの入手方法

パープルハート材を入手するには、製材所や材木店などの木材専門のお店で購入するのが良いでしょう。需要が少ないこともあり、ホームセンターなどでは通常在庫としてほとんど取り扱っていないためです。オンラインでも購入できますが、楽天やAmazonなど大手通販サイトでは、DIY用の木材をほとんど取り扱っていません。木材専門のお店で購入するのがおすすめです。

まとめ

パープルハートは鮮やかな紫色の材面が特徴の樹種です。木材としても優れた耐久性と耐腐朽性、高い強度と硬度を持っています。独特な色合いや耐久性などを生かして、フローリング材やテーブルの天板、ギターのネックや指板、雑貨などさまざまな用途で用いられています。他の木材ではあまり見られない、存在感のある色合いは、インテリアのアクセントとしても大きな魅力となるでしょう。唯一無二の演出ができる木材をお探しの方は、パープルハート材を検討してみるのはいかがでしょうか。

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