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2024.6.8
さまざまな木製品の材料として使われている「スプルース」。
建材だけでなく、楽器や調理器具など幅広い分野で使われている木材です。
しかし、ひと口でスプルースと言っても、実はいくつかの種類があります。
そこで今回は、スプルースの種類や特性について解説します。
メリットやデメリットを始め、主な用途やその理由についても触れていきますので、ぜひスプルース材について理解を深める参考にしてください。
目次
スプルースは北アメリカ原産の針葉樹で、マツ科トウヒ属の常緑高木です。
和名では米唐檜(べいとうひ)と呼ばれます。
直立する樹形と明るい木肌が特徴的な樹種です。
北米からヨーロッパまでの雨の多い沿岸部に広く分布します。
その中でも木材としては、アラスカ州からカリフォルニア州までの太平洋沿岸で、最も多く産出されています。
地域によって呼び名が異なり、特にアラスカ州シトカ地方で産出される「シトカ・スプルース」が有名です。
スプルースは、産地によっていくつかの種類に分かれます。
中でも代表的なのは、次の4つです。
シトカ・スプルースは、アラスカ州のシトカ地方やカナダのブリティックコロンビア州を中心に自生する品種です。
大径木丸太が生産に用いられるため、幅の広い材が取得できる樹種です。
色味が白く、肌目が緻密で美しい光沢があるなど、見た目の美しさが一番の特徴です。
見た目を生かして、造作材、内装材として使用されています。
また柔らかく弾力があり、加工性にも優れているため、細かい形への加工も可能です。
音響性能も良いことから、ピアノの響板やギターのトップ板など高級楽器用材としても用いられています。
エンゲルマン・スプルースは、ロッキー山系のカナダから米国のアリゾナ州、ニューメキシコ州までに分布しています。
カナダの内陸部ではシトカ・スプルースと並んで代表的な品種です。
エンゲルマン・スプルースは強い匂いが特徴で、灰色を帯びた緑色の葉もつぶすと強い香りを発します。木材となってからも強い匂いがするため、使用する際には注意が必要です。
香りを生かして精油としても利用されています。
また、スプルースの中でも特に柔らかいため、丁寧な取扱いが必要です。
ジャーマンスプルースは、ヨーロッパ・ドイツ地域に生育する品種で、別名「ドイツ松」や「ヨーロッパ・スプルース」とも呼ばれます。
数あるスプルースの種類の中では、比較的硬いのが特徴です。
木材として使用された歴史は古く、約300年前からバイオリンのような楽器用材として用いられてきました。
木の根元に近い部分に「斑入り」「杢」と呼ばれる模様がある材は、その模様が独特の個性を生み出すものとして、ギターのトップ材に好んで用いられます。
エゾマツはサハリン、沿海州、アムール河流域から北海道にかけて分布します。
国内では、道南地方を除く北海道全域に分布し、北海道の木としても指定されている樹種です。
木材としては、木目がまっすぐであることに加え、色合いが淡黄色であり芯材と辺材の境界が不明瞭な点など、シトカ・スプルースとよく似た特徴を持ちます。
スプルース材には次のようなメリットがあり、この特性を生かした使い方がされています。
それぞれ、詳しく解説します。
スプルースの最大のメリットは、見た目の美しさです。
色合いが明るく白いこと、節が小さいこと、肌目が緻密で光沢を持つことなどから、見た目を重視する用途において、大きな効果を発揮します。
例えば内装材として使用することで、清潔感がある上品な空間を作れます。
また、近年人気が高まっている北欧風のインテリアやシンプルでナチュラルなテイストのインテリアとも非常に相性が良いと言えるでしょう。
軽量でやわらかく、弾力性があるスプルースは、加工しやすいこともメリットの一つです。
木材の取扱いに慣れない人でも扱いやすいため、DIY用の木材としても重宝されます。
さまざまな形状に加工できることから、建材としては細かい加工が求められる障子やドアなどの内装建材として用いられます。
また、複雑な形状にも加工しやすい上、軽量で音響性能にも優れているため、楽器用材としても古くから使われている樹種です。
マツ科であるスプルースは、木の中に適度にマツヤニを含んでいます。
マツヤニの油分が水を弾くため、耐水性が高いのも特徴の一つです。
その耐水性の高さから、日本ではまな板のような調理器具としても広く用いられています。
メリットの多いスプルース材ですが、そのメリットが用途によってはデメリットに転じることもあります。
スプルース材のデメリットは主に、次のようなものです。
それぞれを詳しく解説します。
軽くて柔らかいメリットは、一方で、強度面では不利になる部分もあります。
木が非常に柔らかいため、毛羽立ちやささくれができやすく、少しの衝撃でも傷やへこみにつながりやすいのも特徴です。
そのため、スプルースの無垢材は高い強度を必要としない用途で使用されます。
ただし、スプルースは集成材にすると強度が増すため、構造材としても多く使用されます。
スプルースは木の成分を分解する腐朽菌に対する耐性が弱く、腐りやすいというデメリットがあります。
そのため、高い耐朽性を必要とする土台や屋外で使われることはほとんどありません。
木の柔らかさが虫に好まれる要因の一つで、シロアリ被害を受けやすい傾向があります。
また、トウヒ類の木材を好む「トウヒキクイムシ」の被害も各地で報告されていて、その被害をうける可能性もあります。
スプルースは主に下記のような用途で使用されます。
幅広く使用されるスプルースを用途別に詳しく解説します。
建材としては、内装材・造作材として見た目の美しさを生かして使われることが多い木材です。
スプルース材は原木に大径木を使用するため、幅の広い柾目材を取れます。
幅の広い板を使用できるという点が、壁や床などの造作材として多く用いられる理由の一つと言えるでしょう。
日本では障子やドアなどの建具として、最も多く用いられているのがスプルースです。
スプルースは見た目の美しさと音響性能の良さから楽器用材としても使われることの多い樹種です。
音響性能の良さは、スプルースの軽さと木目の細かさに由来します。
スプルースの中でもシトカ・スプルースは柔らかい上に、楽器として耐えうる強度も確保できるため、多くの楽器に使用されています。
例えば「ストラディヴァリウス」というバイオリンの銘器に使われていることが代表的な例です。
現在、仕様の中にスプルースと記載があるほとんどの楽器において、シトカ・スプルースが使用されています。
スプルースは耐水性が高いため、日本では調理器具としても重宝されています。
まな板にすると、耐水性に加えて弾力性もあるため、包丁の刃当たりが柔らかく使いやすいと言われています。
プロの料理人の方も愛用する方が多い製品です。
その他、耐水性の高さと清潔感のある見た目から、落としぶたや鰹節の削り器などにも使用されています。
スプルースはマツ科トウヒ属の針葉樹です。
軽量で弾力があり、加工しやすいことに加え、見た目の美しさも特徴の一つです。
この特徴を生かして、主に内装材や楽器などに使われています。
しかしその一方で、強度が低いのはデメリットです。
耐朽性が低く、虫が好む樹種でもあるため、雨や虫の影響を受けやすい屋外や土台としての利用には向いていません。
用途によっては注意が必要です。
また生育場所によって、いくつかの種類があります。それぞれの特性を十分に把握して、適切な用途で活用しましょう。
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