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2024.5.18
家を建築する際に使われる造作材は、室内空間の仕上がりを決める重要な要素です。
しかし、種類が非常に多いため、どの部分を指すのか分からない、という方もいるのではないでしょうか。
建築の際に使われる部材として、構造材と対になって説明されることも多い造作材。
本記事では、構造材と造作材の違いや造作材の代表的な用途、使われることの多い樹種について解説します。
目次
造作材は「ぞうさくざい」と読みます。
造作材は室内空間の仕上げ用に使われる材料のことを指しますが、総称として呼ばれるため、種類は多岐に渡ります。
例えば、和室にある床の間、床柱、長押(なげし)なども造作材を使って仕上げられるものの一つです。
洋室であれば飾り柱や窓枠、カウンターや棚なども室内造作にあたります。
造作材は室内空間をきれいに仕上げることを目的として用いられます。
よりきれいに見せるため、見た目の美しい高級木材が多く使用されてきました。
現在では、コストパフォーマンスが良いことから、複数の板を結合して作られた「集成材」も多く用いられるようになっています。
造作用集成材は、素地の持つ美観をそのままあらわしに使い、階段やカウンターなどに利用されています。
美しい木目の化粧板を貼った集成材は、室内空間をよりきれいに仕上げることが可能です。
造作材が室内空間のデザインを決めるものである一方で、構造材は家の骨組みにあたります。
家の強度を決めるのが主な役割です。
つまり、構造材は家を組み立てるものである一方で、造作材が家を仕上げるものという点が大きな違いと言えるでしょう。
構造材は主に土台・柱・横架材に使用されます。
土台には耐湿性・耐久性の高い木材が使用される他、ヒノキやヒバなど害虫が嫌う木材も使われます。
柱には垂直方向に荷重がかかるため、材がまっすぐで垂直方向に強いスギやヒノキが多く使われます。
そして、梁や桁などに使われるのが横架材です。
横方向に使用するため、主に曲げに強い、米松などの木材が使われます。
ここでは、造作材の主な種類について解説します。
造作材が使われる、代表的な室内造作には次のようなものがあります。
窓枠・無目枠は窓や出入り口など、開口部に使われる造作のことを指します。
窓枠(まどわく)はその名の通り、窓の枠のことです。
壁の色や巾木などに合わせて選ぶことで、室内に統一感を出せます。
無目枠(むめわく)は建具を設置しない開口部の周囲に、装飾や保護のために囲むように付けられる材料のことです。
窓枠に合わせて選ぶと、デザインに統一感を出せます。
周り縁(まわりぶち)は、壁と天井が接する場所に使われる部材です。
目につきにくい場所ですが、室内全体のデザインを左右する重要な要素です。
あえて取り付けるのをやめると、空間が広く見えるというメリットもあります。
巾木(はばき)は床に接している壁の下側に、壁に沿って付けられる部材のことを指します。
足元にあるため、周り縁と同じく目に入りにくいですが、室内のデザインを左右する重要な要素と言えます。
框(かまち)は、玄関で靴を脱ぐ場所にあたる「たたき」と、室内空間を区切るために付けられる造作で、たたきと床の境目に横に付けられます。
湿気の多い日本の気候に合わせて湿気から守る目的で、玄関より床を高く作り境目を設けたのが始まりです。
一方で近年では、バリアフリーの観点から、框をあまり高くしない傾向があります。
とは言え、家に入ったときの第一印象をきめる場所なので、デザイン的にも重要な要素です。
見切り(みきり)は壁や床にできるすき間を埋めて、見た目を美しくするために付けるものです。
床とのすき間に使うことで、少ない段差であれば解消できるメリットがあります。
カウンターは、家の西洋化に伴って作られることが増えた造作の一つです。
壁面のニッチ部分を利用したカウンターで作業場所を確保したり、窓ぎわにカウンターを付けることで小物を飾る空間を作ったりという目的で作ることが多いでしょう。
窓枠やドアの色や風合いと合わせると部屋のアクセントにすることも可能です。
また、スペースの有効活用の点でもメリットがあります。
使い方に決まりはないので、付ける場所の自由度が高く、さまざまなデザインを楽しめるのが特徴です。
ここからは、造作材として使われることの多い樹種を紹介しましょう。
造作材に使われる代表的な樹種は次のようなものです。
スギは本州から九州まで日本の各地で生産される木材です。
古くから植林も行われてきたので、日本ではメジャーな樹種と言えるでしょう。
縦方向に強度があるので、柱などに使われることも多い木材です。
比較的柔らかく加工がしやすいのが特徴でもあります。
「笹杢(ささもく)」「鶉杢(うずらもく)」と呼ばれる美しい杢目があるものは、装飾的な価値も高く、造作材としても使われています。
ヒノキは福島県東南部以南の本州から九州にかけて生育する木材です。
耐久性、耐湿性に優れていることから、日本では古くから建築用材として使用されてきました。
耐水性も高く、風呂おけをはじめとした水回りの建材として使われることも多いのは、よく知られていることでしょう。
特有の香りがすることから、内装材としても人気が高い木材です。
肌目が緻密で美しく、面の仕上げによっては特有の光沢を出せるため、見た目を重視する造作材としても重宝されています。
タモは湿地を好む樹種で、国内では本州の北中部から北海道までの、寒くて湿気の多い地域で生育します。
現在は、中国産やロシア産の輸入材が使用されることも多くなっています。
木材としての特徴は、やや硬めで強度や粘り強さを決める靭性と弾力性が高く、狂いも少なく加工しやすい点があげられます。
弾力性の高さから、バットやラケット、スキー板など運動器具にも使用されることが多い樹種です。
「縮杢(ちぢみもく)」と呼ばれる独特の杢目が出ることがあり、杢目が美しい材は希少性と意匠性の高さから評価も高い木材となります。
スプルースはヨーロッパから南シベリア、北米までを生育地としています。
特徴は、肌目が緻密で絹のような美しい光沢を持つことに加え、マツ科でありながら特有のヤニがほとんどなく、臭いなどもないことです。
また、大きい木になるため、寸法の大きな材が取れることでも重宝されています。
弾力性に富む上、乾燥・加工がしやすいなど欠点がほとんどないことが、さまざまな用途に使われる理由です。
表面の美しさを生かして、造作材の他、家具や楽器などにも使われています。
米ヒバはヒノキ属の樹種で、国産ヒバに似た独特の香りで人気があります。
比較的柔らかい樹種で、加工しやすいことや耐朽性が高く、水湿に強いのも特徴です。
肌目が緻密であることや、青森ヒバに似た質感と香りがあることから、内装用の造作材として、使われることも多い樹種です。
参考:ベイヒバ、イエローシーダー、アラスカシーダー、|一般財団法人 日本木材総合情報センター
造作材(ぞうさくざい)は室内空間の仕上げに使われる木材の総称です。
家の骨組みとなる構造材に対して、家の仕上げに使われるのが造作材になります。
造作材の種類は非常に多く、窓枠など開口部に使われるものから、巾木、框(かまち)といった目につきにくいもの、カウンターなど活用性の高いものまで、多岐にわたります。
普段、気にする機会は少ないかもしれませんが、室内デザインの統一感を決めるために非常に重要な部材と言えるでしょう。
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