商品紹介
この記事をシェアする
2024.1.16
ほかの素材にはない木材らしさを感じさせる要素の一つが「木目」です。
全く同じ模様は存在せず、木目は木材の個性も表現します。
木目が木材選びの判断材料になることもあるでしょう。
本記事では、木目に関して、模様のでき方や杢目との違い、樹種ごとの特徴などを解説します。
これまで漠然と木の模様を見ていた人も木目への理解が深まるはずです。
目次
木目とは、木材を挽いた際に表面に現れる、年輪が作り出す模様のことです。
どのような模様が見られるかは、木の成長の軌跡である年輪や、水分の通り道である道管の配置、木が成長する環境などに左右されます。
「杢目」は、木目と同様に「もくめ」と読みますが、違う意味をもちます。
杢目とは、天候や病気などが影響して木の表面に形成される、装飾性の高い複雑な模様を指します。
成長途中で曲がったりコブができたりして年輪などが変形し、特殊な表情となって現れたものです。
杢目は全ての木材に見られるわけではありません。稀にしか現れない特殊な杢目をもつ板は、一般的に希少価値が高く、高値で取引されます。
杢目と違い、どのような木にも見られるのが木目です。
同じ丸太でもカットの仕方で現れる木目は大きく異なり、次の2つに大別されます。
それぞれ、どのような木目か説明します。
木の中心からずらし、年輪の接線となるように板を切り出した際に現れる木目を、「板目(いため)」と呼びます。
板目は、山型や波型、時には輪っか状などバリエーションに富んだ模様を呈すことが特徴です。
節が多くなったり収縮しやすかったりする点はデメリットでもありますが、木材らしい不規則な木目が重宝される場合もあります。
一本の丸太から多く取れるため、次に説明する柾目よりも価格は安めです。
年輪に対して直交するように、木材の直径を切り出すと見られる木目が「柾目(まさめ)」です。
柾目は、直線的な縞模様で、シンプルですっきりとした印象を与える木目です。
主に丸太の中心部から切り出すため取れる量が限られ、板目と比べると価格が高い傾向があります。
板目よりも収縮しにくいので、変形リスクが低いという性能上の利点ももちます。
杢目の見られる木材は装飾的な価値が高く、珍重されます。
見た目の特徴ごとに呼び名がつけられていますが、よく知られた杢目の例を次に挙げます。
それぞれどのような杢目なのか、紹介していきます。
虎斑とは、虎の斑紋のように見える杢目で、ナラ・カシ・ブナなどのブナ科の木によく現れます。
柾目を横切るような帯状の模様で、他の部分とは異なる光沢をもち、まさに虎の毛のように輝いている点が特徴です。
英語では「シルバーグレイン」と呼ばれます。
鳥の眼の形をした円形状の模様が無数に現れたものは、鳥眼杢と呼ばれ、カエデやカラマツなどによく現れます。
英語では「バーズアイ」といい、鳥眼杢を持つハードメープルは、バーズアイメープルと呼ばれる大な貴重な材です。
縮杢とは、木目が波状に縮み、木目と直行するように現れる繊細で美しい波状の模様です。カーリー、リップルマーク、波状杢(はじょうもく)、縮緬杢(ちりめんもく)とも呼ばれます。
縮杢はトチの木でよく見られ、木自体の美しさが有名です。
そのほかに、縮杢が見られるハードメープルは、カーリーメープルと呼ばれ、その希少性の高さと美しさで珍重されます。
玉杢とは、木のコブのようなところの断面に見られる同心円形の模様のことで、よく知られた杢目の一つです。珠杢ともいいます。
同心円が幾重にも広がる大柄で華やかなものや、小さな円が点在する上品なものまでさまざまな種類が知られています。よく見られるのは、ケヤキやクスノキです。
樹齢200年以上のスギの老木や大径木に稀に見られる杢目が、笹杢です。
年輪が細かく揺れているのが特徴で、ちょうど笹の葉を重ねたように先の尖ったギザギザ模様が見えます。
和室の天井板や障子の腰板などに、重宝されます。
一つとして同じ木目はありませんが、樹種ごとに模様や雰囲気の傾向はあります。
ここからは、家具や内装材として人気がある次の樹種5つが、どのような木目をもつのか紹介します。
樹種ごとの木目の特徴を把握しておくと、目的に合わせた木材選びがしやすくなるでしょう。
世界三大銘木の一つで、高級材として人気があるウォールナットは、紫色を帯びた暗褐色の木肌に、細やかな美しい木目が特徴です。
ウォールナットは、空に向かってまっすぐに伸びる樹種のため、木目が美しく整うといわれています。
経年変化で色合いが明るくなると、更に木目が鮮やかに際立ち、魅力が増します。
チェリー材は、内部に細い道管が不規則に存在する樹種のため、優しい木目が特徴で、柔らかい印象を与えます。
主張しすぎない木目は、他のインテリアとも馴染みやすい点がメリットです。使い込むと、木目の表情は更にまろやかになります。
チェリー材に時折見られるのは、リップルマークと呼ばれる、さざ波のような繊細な模様です。
見る位置や光の当たり具合によって異なる表情を見せるリップルマークは、意匠性が高く人気があります。
ゆっくり大きく生長するナラは、細かく美しい木目が特徴です。
木が養分を蓄えたり吸収したりした跡が、虎の縞模様に似た「虎斑」となって現れることもあります。
虎斑はほかの木目とは光沢が異なり銀色に輝いて見えることから、「銀杢」や「シルバーグレイン」とも呼ばれ、大変美しい表情に人気があります。
灰色を含んだ明るい木肌のタモ材は、木の深い部分まで美しくはっきりと流れる木目が特徴です。
ゆっくりと生長するために細かく形成された木目は、「糸柾」といわれる繊細な柾目を作ります。すがすがしく清潔感を感じさせる木目はまさに、「和モダン」を体現するのにぴったりの樹種です。
メープルは、穏やかで優しい木目をもちます。穏やかな木目に、透明感のある白い木肌と上品な光沢が相まって、清潔感を感じさせる点が魅力の樹種です。
鳥眼杢が見られるメープルは「バーズアイメープル」と呼ばれ、その希少性と意匠性の高さから、高値で取引されます。
年輪が作り出す木目に全く同じものはありません。では、木目の模様は何によって決まるのでしょうか。
主な要因は次の通りです。
これらが木目にどのような影響を与えるのか、解説していきます。
季節によって異なる木の成長具合は、色の明暗を生み出します。色の異なる部分が繰り返されることで、木目が見られるのです。
気温が上がる春から夏にかけて旺盛に成長した部分は早材(そうざい)と呼ばれ、明るい色をしています。
一方、気温が下がる夏の終わりから秋にかけてゆっくりと成長した部分は、晩材(ばんざい)と呼ばれ、暗い色になります。
秋から冬は、成長が止まる期間です。
季節は、木材の早材・晩材の積み重ね方に影響し、どのような木目になるかを左右するのです。
季節を決定づける気候もまた、木目の特徴に影響を与えます。
夏が短く冬が長い寒い地域の木は、成長が遅いので年輪による木目が細かく詰まっています。
反対に、年中暑い地域の木は、常に同じスピードで成長するので、はっきりした年輪が見られません。
日本のように、はっきりした四季のある地域では、くっきりとした年輪が形成されます。
針葉樹と広葉樹でも、木目の傾向が異なります。
一般的な針葉樹の木目は、真っ直ぐでシンプルです。針葉樹の内部は、規則的に並んだ「仮道菅」が9割以上を占める、単純な構造だからです。
仮道管とは、根で吸収した水分を全体に運ぶための管であると同時に、木の体を支える役目も担っています。
一方、広葉樹は組織構造が入り組んでおり、構成細胞の種類も多い点が特徴です。
水を運ぶ役割は「道管」、木自身を支える役割は「木部組織」など、細胞の専門化が進んでいるのです。
そのため、広葉樹の木目は複雑なものが多く、バリエーションに富んでいます。
針葉樹と比べて木目が複雑な広葉樹ですが、その中でも、道管がどのように分布しているかでさらに木目が異なります。
広葉樹は、大きく「環孔材(かんこうざい)」と「散孔材(さんこうざい)」に分かれます。
環孔材とは、比較的太い道管が年輪に沿って環状に分布している木のことで、ケヤキ・ナラ・タモなどがあります。
環孔材は、木目がはっきりとしている点が特徴です。
散孔材とは、細い道管が規則性をもたずバラバラに存在している木のことで、アメリカンブラックチェリー・ハードメープル・バーチなどが含まれます。
散孔材の木目は、淡く穏やかなものになります。
木目は、木肌の色やツヤと並んで、木材が与える印象や醸し出す雰囲気を左右する要因の一つです。
同じ丸太から取った材であっても、一つとして同じ木目は存在しません。成長の痕跡を感じさせる木目は、天然素材である木の大きな魅力といえるでしょう。
また、装飾性が高い杢目をもつ木材は、その希少性から高値で取引される程の価値があります。
木目を深く知り、木材選定の基準に加えることで、目的や用途にぴったりの木材を見極めやすくなるでしょう。
おすすめの記事