FM認証 静岡県
F-net大井川
F-net大井川の立ち上げ
FSCの制度は森と人、人と人との適切な関係性を保つための指針になるとの思いで、2007年9月に『F-net大井川』を川根本町と9人の自伐林家で設立しました。名称に『大井川』と入れたのは、活動を「川根本町」にとどめるのではなく、大井川流域全体に広げていきたいとの思いがあったからです。そして準備期間を経た2008年3月、約1,500haの森林でFSC認証を取得しました。これによって、2006年から始まっていた「森林(もり)づくり県民税」を収める県民や企業に対し、どのように森づくりをしていくのかの説明責任を果たす事も出来ました。
「このままの林業で、いいのだろうか…」
森の恵みを活かし、森と共に暮らしてきたこの山村地域に大きな変化をもたらしたのが、戦後の拡大造林でした。自然林を伐採しスギ・ヒノキを植えて濃い緑の山にしてきた高度経済成長期。その頃は、そうすることが地域を守るために必要だと皆が思っていたのです。しかし、森林を取り巻く環境は変化します。その中で、これからも林業を続け地域の暮らしを維持していくためには何が必要か。そう考えるきっかけを与えてくれたのは2001年の模擬認証でした。環境性だけでなく経済性も重視し地域社会についても考えられる。このバランスの取れた仕組みでFSC認証が失われつつあった「万物にとっての森の多様性」の大切さに気付かせてくれました。
山の思いがつながったCoC認証
近隣にCoC認証がないという課題はありました。しかし、「上流側の林業が森との係わりをしっかりとしていれば、それを理解してくれる人が出てくる」と考え、まずはFM認証から取り組みました。2015年3月に島田市の木材加工業のグループがCoC認証を取得したことをきっかけとして、公共施設への部材供給が行えました。待ち望んでいた人々が現れたのです。その後、研究会やシンポジウム開催など県・市町などの支援も得て、2017年4月にF-net大井川は活動範囲を川根本町から島田市および藤枝市に拡大することができました。
持続可能な国産材時代へ
活動範囲の拡大に伴い管轄地域を同じくする「森林組合おおいがわ」に管理者と事務局を移しました。個人や県有林や森林組合の森林経営計画樹立地の加入などで、認証林は当初の約2倍の2,900ha(令和3年現在)に。森林も、山村社会も、自然と人との関わりの積み重ねでできたもの。FSC森林認証で多様性のある森林と山村の魅力を取りもどしていきたい。それが持続可能な森林・林業に繋がる事を期待しています。認証制度に取り組む前に仲間と訪れた宮崎県諸塚の森林。伝統的な森との係わりの中で育まれた広葉樹と針葉樹が織りなすモザイク状の森林の美しさにも思いを馳せて、大井川の森づくりを行っています。